1. 2005年2月8日、インターネット関連企業ライブドアが、ニッポン放送株式の35%を取得したことを契機として、フジテレビを始めとするフジサンケイグループとの間で経営支配権の争奪戦が生じた。
2. 一連の争いの過程では、(1)ライブドアが株式の大量取得に際してTOBを行わず立会外取引を利用したこと、(2)ニッポン放送がライブドア側への対抗策としてフジテレビを引受先とする大量の新株予約権発行を決議したこと、が大きな論議を呼んだ。
3. 立会外取引をめぐっては、今後同じようなことが行われないよう証券取引法のTOBルールが改正される見込みである。しかし、TOB強制制度そのものの是非や具体的な仕組みを含め、今後の検討課題も少なくない。
4. ニッポン放送の新株予約権発行に対しては、ライブドアの申請した差止仮処分が、東京地裁及び東京高裁によって認められた。当該発行は、違法な有利発行ではないが、商法が差し止めを認める「著シク不公正ナル方法」にあたるとされたのである。この決定は公正で意を尽くした内容であり、高く評価することができよう。
5. このほか、ライブドアの発行したMSCBの妥当性、大量報告書のあり方など、今回の騒動が浮かび上がらせた商法、証取法上の論点は多い。
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