1.米国の住宅投資・MBS市場が拡大する中で、ファニーメイ・フレディマックの規模も急拡大してきたが、両社の拡大が金融市場における潜在的なリスクを高め、同時に公正な競争を阻害しているのではないかといった指摘が広くされるようになった。実際に、2003年にはフレディマック、2004年にはファニーメイで会計不正処理が幅広く行われていたことが明らかになり、GSE(政府後援企業)に対する批判が強まっている。
2.2005年に入って、連邦議会の上下院ではGSE改革に関して、度重なる公聴会が開催されると同時に、新監督機関の設立などを骨子とするGSE改革法案が提出されている。
3.改革法案の内容では、破綻処理の問題(レシーバーシップ)、ファニーメイ・フレディマックの資産規模に上限を設定するかどうかなどが大きな論点となっている。ただし、ファニーメイ・フレディマックの住宅ローン買取・証券化業務自体に大きな変更を加えようという動きは見られていない。またGSE改革に対する議会の機運は高まっているが、すぐに改革法案が成立かどうかはまだ流動的な情勢である。会計不正問題とGSE改革法案の提出は、今までのところ、米国の公社債市場・住宅ローン市場に大きな混乱をもたらしてはいない。
4.日本でも、2006年度を目標に住宅金融公庫を廃止し独立行政法人化しようという制度改革が進んでいる。住宅金融においてどのように市場機能を強化し、公的機関にどのような役割を持たせるかということに関して、米国GSE改革の動向を参考にしながら議論していくことが期待されよう。
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