1. ブッシュ政権2期目の、国内政策課題の筆頭に挙げられているのが、公的年金制度の抜本的改革である。ソーシャル・セキュリティと呼ばれる公的年金制度は、人口高齢化の進展と共に収支が悪化し、2042年には破綻すると予測されている。
2. ブッシュ政権は、破綻回避策として、ソーシャル・セキュリティへの個人勘定制度の導入を提案している。加入者がソーシャル・セキュリティ税の一部を個人勘定に拠出するという制度で、公的年金制度の一部を確定拠出型化する提案とも言える。
3. 個人勘定制度は、自分で自分の老後資金を積み立てるので、人口動態の変化に左右されないという利点を持つ。他方、同制度の導入だけでは、ソーシャル・セキュリティの財政健全化を果たすことはできない。また、給付支払いに回されるはずの資金が個人勘定に拠出されるので、過渡期のファイナンスが必要となる。
4. 個人勘定制度提案をめぐっては、活発な論戦が始まっており、政権党でかつ、議会の多数派を形成する共和党も一枚岩ではない。今後の展開は不透明だが、公的年金制度の破綻という中長期的な課題への抜本的な取り組みとして、注目していく必要があろう。
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