1. 米国の確定給付型企業年金は現在、制度のインフラ的な部分で、様々な課題に直面している。具体的には、(1)企業の年金プランへの拠出義務に関する規制の見直し、(2)年金給付保証公社(PBGC)の財政難、(3)キャッシュ・バランス・プランの先行き、(4)年金会計に対する批判が挙げられる。
2. これらのうち、(1)〜(3)については、ブッシュ政権が、2006年度予算案の中に対策を盛り込んでいる。拠出義務の強化やPBGC保険料の引き上げが含まれており、企業のキャッシュフローに影響を及ぼしうる内容である。
3. 年金会計をめぐっては、年金資産や年金債務の変動が財務諸表に過度な影響を与えないようにする、いわゆる平準化の措置が、企業利益の嵩上げにつながったのではないかという批判がなされており、財務会計基準審議会(FASB)の動向が注目されている。
4. 制度改革が与えうるインパクトとしては、資産運用面で、株式から債券へのシフトの可能性が指摘されている。また、確定給付型年金提供の負担感が増して、結果的に、企業が同プランを提供しなくなる可能性も看過できないとされている。
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