1. 2004年の米国投資信託市場では、2003年9月以降に注目された投信の不正取引問題にも関わらず、2003年に引き続き株式ファンドへの資金流入が好調に推移した。
2. 順調に資産を増やしつつある大手運用会社の中でも、アメリカン・ファンズ(キャピタル・リサーチ・アンド・マネジメントの運用する投信)の急激な成長が注目を集めている。
3. 拡大の背景には、スキャンダルに見舞われなかったこと、パフォーマンスが好調であること、大型株・割安株を中心にした投資スタイルが評価されていることに加え、ブローカーやフィナンシャル・アドバイザー経由の販売を原則とし、長期的な観点から販売支援に取り組んでいることがあげられる。米国の投資信託・証券業界で製販分離が進展する中、「フィナンシャル・アドバイザーが推奨しやすいファンド」としての地位を確立したことが成功要因とみられる。
4. ファンドの巨大化による運用への影響、レベニューシェアリングおよびディレクテッド・ブローカレッジに関する規制当局の調査などで批判も受けているが、現時点では明確にアメリカン・ファンズの人気を止める要因は見当たらない。米国投信業界のリーダーが入れ替わることになるのか、今後が注目される。
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