1. これまでの中国における国有企業改革は「所有者の不在」によるコーポレート・ガバナンスの欠如など根本的な問題を解決できなかった。こうした認識に立って、政府は1990年代後半に、「国有経済の戦略的再編」という名のもとで、国有経済の範囲を公共財の提供など一部の業種に限定し、国有企業が競争的分野から撤退する方針を決め、国有企業の民営化を積極的に取り組むようになった。
2. 民営化を促進するためには、その有力なチャネルである証券市場の仲介機能の向上を図らなければならない。現在、上場企業の株の7割が流通できない国有株になっているため、コーポレート・ガバナンスの確立が難しく、中小投資家の権利も尊重されていない。この問題を根本的に解決するためには、国有株を全て市場で流通させることが必要である。
3. 非国有経済の急成長は、国有企業改革に有利な条件を提供している。特に、民営企業は国有企業の大量の余剰人員を吸収している上、買収や合併などを通じて国有企業の民営化にも参加している。
4. 一方、まだ民営化の対象とならない国有企業を監督する体制を強化しなければならない。国有資産監督管理委員会を中心とする新体制では、国有資産管理の権限が一元化され、国有資産の所有と管理について中央政府と地方政府の権限が見直され、政府の企業への介入が制約されるようになった。しかし、国有資産監督管理委員会は自分の権限を手放したくないため、民営化には積極的ではないという批判もある。
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