1. 英国では自動車保険を中心にして電話やインターネットを活用した損害保険の直販が浸透している。英国保険会社協会(ABI)が公表した2003年の統計を見ると、ダイレクト販売された損害保険は、保険料収入の21%を占めていたし、個人向け保険に限定すると、そのシェアは同32%と最大の販売チャネルとなった。
2. 英国で成熟化しているダイレクト損害保険の競合相手として、最近急速に成長しているのは、ブランド・アシュアラーと呼ばれる販売チャネルである。ブランド・アシュアラーとは、金融サービス業以外の本業で培ってきたブランド力や顧客基盤を活かして、提携保険会社の商品を販売する業者である。主に小売業者の強いブランド力を活用することによって、損害保険会社が販売力を高めることにつながる。
3. こうしたブランド・アシュアラーとの競争が活発化するなかで、ダイレクト損害保険の中にも、ユニークな特色を出すことで、生き残りをかけようとする動きが見られる。例えばイーシュアは向こう数ヶ月以内に従来の方針を変更し、これまでダイレクト損害保険が排除してきたような、ハイリスクな顧客にも門戸を広げる模様である。
4. 損害保険の直販市場が成熟化している英国で、今後も展開されると見られる販売チャネル間の競争がどのような方向に進んでいくのか、注目に値する。
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