1. 米国クレジット・カード業界が、2005年に入り、再編の動きを見せている。カード業者の大半が、銀行の系列となっている中で、独立を維持してきた大手専業会社全てが、銀行との合併・買収を発表したのである。
2. 中でもカード業界第5位のバンク・オブ・アメリカは、第3位のMBNAを買収することにより、業界トップに躍進する。
3. カード専業会社が、単独路線を放棄しつつある背景には、同市場の成熟がある。一個人が複数のカードを保有するのが一般的な状況下で、カードローン残高の伸び率は、ITバブル崩壊前に比べて鈍化している。こうした中、装置産業的なカード業務は規模の経済が働くため、同市場の寡占化が急速に進んだ。現在は、トップ10社でシェア8割を占めている。
4. キャピタル・ワンは、銀行を実質的に傘下におさめて主導権を握る、唯一のカード専業会社となる。同社は、カード以外の個人向けローン市場も、同様に寡占化すると考え、特に自動車ローン市場等の「統合者」となることを目指している。このような寡占化がどのようなスピードで進むのかは未知数であるが、今後の金融機関は銀行、ノンバンクに関わらず、特定市場への参入・撤退を、より戦略的に見極めなければならないであろう。
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