1. 韓国では2005年4月に国内で活動する外国資本への税務調査が実施されたほか、外国人投資家への各種課税強化策も検討されているが、このような狙い撃ちとも取られかねない税務調査や課税強化策に関しては、外資系資本を遠ざけてしまうとの懸念も指摘されている。
2. その一方、同国に東アジアの金融ハブを構築することを目標に掲げた「北東アジア金融ハブ構想」を巡る状況にも、動きが出てきつつある。2005年6月、国民経済諮問会議は大統領主宰の「第1次金融ハブ会議」において金融ハブ育成のための推進計画を確定し、外国為替取引の完全自由化を前倒し実施することなどを発表している。
3. 2005年1月に先物取引所、証券取引所、店頭株式市場の3つが合併して発足した韓国取引所(KRX)といった市場インフラも、金融ハブの一翼を担っていくことが期待されている。また民間レベルでも投資ファンドがアジア本部をソウルに置くなど、将来を視野に入れた動きも見られ、今後こうした動きが本格的なものになっていくかどうかが試されよう。
4. 通貨危機後、韓国政府は外為取引規制の緩和や外資導入を進めてきたが、今回のような税務調査や課税強化などは、国内世論の揺り戻しと捉えることもできる。今後、金融ハブ構想具体化の施策が打ち出されてくる中で、当局はよりバランスの取れた舵取りを迫られることになろう。
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