1. 米国の証券取引委員会(SEC)は、2004年6月、空売り規制を改正する「レギュレーションSHO」の最終案を採択した。新規制では、空売り取引の売り主に対して借株の確保義務を強化するとともに、価格規制に関して、今後のさらなる規制緩和を見据えて、2005年5月から1年間、ラッセル3000株価指数構成銘柄のうち、約1000銘柄に対して価格規制を適用せず、市場へのインパクトを調査することとした(パイロット)。
2. 2003年10月の当初提案から変更された点は、(1)参照価格を一本化する統一ビッド・テストの導入を見送ったこと、(2)パイロット対象銘柄数を増やしたこと、(3)パイロット期間を2年から1年に短縮したことである。
3. レギュレーションSHO最終案で特に注目されるのは、パイロット終了後、相当範囲の証券に対して、空売り価格規制を撤廃することがSECの視野に入っていることである。
4. また一連の改革では、相場操縦や詐欺的行為は、取引システムや市場監視技術の問題として抑制・摘発をしながら、情報技術が発達していない時代にやむを得ずつくられた価格規制など、空売りを不必要に制約するルールはなるべく廃止していこうとの努力が見える。
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