1. 米国では2004年12月9日、証券取引委員会(SEC)が、新規公開(IPO)銘柄の割り当て等に関する規則改正案を発表した。証券発行時の引受業者等の活動は、レギュレーションMと呼ばれる一連のSEC規則により規制されるが、同レギュレーションを改正するという提案だった。
2. レギュレーションM改正案の背景には、90年代後半に始まるIPO銘柄割り当てをめぐる不正疑惑があった。2003年5月には、全米証券業協会(NASD)とニューヨーク証券取引所が共同設立した諮問委員会より提言が出され、同年10月にはNASDにより新規則が制定されるなど、自主規制機関による対応が進められていた。
3. 問題とされたのは、有望なIPO銘柄の割り当てと引き換えに人気のないIPO銘柄の購入を顧客に約束させる、IPO銘柄の流通市場での取引開始後に追加購入を約束させるといった行為だったが、レギュレーションM改正案には、これらを明示的に禁止するための新規則などが盛り込まれた。
4. 2004年の米国IPO市場は、2000年以来の件数・金額を記録し、ネットバブル崩壊後の低迷をようやく脱したと評された。本格的な拡張期が再来した時に同様な問題の再発を防止するためにも、今回のレギュレーションM改正案の内容が十分なのか、今後の議論が興味深い。
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