1. 2004年12月、EU域内の証券取引所等に株式等を上場している発行者に課される情報開示義務の統一を図る「上場証券の発行者についての情報の透明性に関する指令」(透明性指令)が正式に採択された。同指令は、2005年1月20日に発効し、2年以内の国内法化が義務づけられる。
2. 透明性指令は、年次報告書、半期報告書などの継続開示義務、株式大量保有に関する報告制度、発行者による株主等への情報提供義務などについて規定したものである。英文による開示を一定の場合に容認するなど、興味深い内容となっている。
3. 指令の主要な内容は、2003年に公表された原案にほぼ沿ったものである。但し、当初、義務づけが検討されていた四半期開示に関する規定は削除された。代わって、年に2回「中間経営概況」を開示することが義務づけられることになった。
4. わが国では、本指令に基づいて、EU域内で上場している企業等が、国際会計基準(IAS)に依拠した財務諸表作成を義務づけられる可能性が関心を集めている。指令の最終的な内容は、原案と大差なく、今後、日本の会計基準が、IASと同等(equivalent)のものと認められるかどうかが、引き続き注目されることとなる。
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