1. 従来、住宅ローン供給の3〜4割を占めてきた住宅金融公庫のシェアが新規貸出で10%を切るまで急低下している。公庫は直接融資を減少させる一方で、2003年10月より民間金融機関による住宅ローンの証券化の活用を支援する事業を展開している。当初低調だったこの事業は、商品性の見直しなどもあり、足元では急速に拡大してきている。
2. 現在、公庫の独立行政法人化を前に、今後の住宅政策の方向性について、活発な議論が展開されており、その一つとして、住宅ローンへの証券化の活用をより一層進めていくことが求められている。
3. 証券化の活用が進むことによって、長期固定の住宅ローンが安定的に供給される基盤が整うことが期待される一方で、住宅ローンを取り扱う金融機関にとっては、ビジネスの収益性の低下やこれまで顕在化していなかった新たなリスクに直面することも予想される。
4. 証券化の活用が進んでいる米国でも、収益性の低下や期限前償還リスクの増大による収益の変動といった問題を抱え、サービシング業務の大手への集中、柔軟性や効率性を確保するための販売チャネルの重層化などが生じている。
5. 米国同様の対応をわが国の金融機関がとる場合には、現在、十分に整備されていないサービシング業務の譲渡やサービシング権利の資産計上とリスク管理といったことが必要となる。
6. サービシング権利の価値の把握は、投資家や監督機関にとって、金融機関の収益性や事業リスクを把握する上でも参考となり、また、サービシング権利の管理に必要な期限前償還リスクの分析やヘッジの技術は、RMBSの投資にも役に立つものであり、市場の拡大にも寄与することが期待されるであろう。
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