野村資本市場研究所｜米国で新たな株式運用戦略として注目を集める「130/30戦略」

米国で最近、新たな株式運用戦略として130/30戦略（130ロング/30ショート戦略）への関心が高まっている。130/30戦略は、資産の130％分のロングポジションと、30％分のショートポジションを合わせてポートフォリオとするという運用手法である。
130/30戦略の狙いは適度な空売りを行うことにより、インフォメーションレシオの改善、投資機会の増加、及びポートフォリオの分散化を図り、超過リターン（アルファ）の追求と効率的な運用を達成することである。130/30戦略が開発された背景には、投資家が超過リターンに対するニーズを強めたこと、レンディング市場の発達などによって空売りが容易になったことなどがあげられる。
130/30戦略を採用する年金基金、130/30戦略を利用した運用商品は、徐々に増加しており、500億ドルのマーケット規模に達したという推計もある。2006年12月に米国最大の年金基金であるカルパース（カリフォルニア州職員退職年金基金）が130/30戦略を導入すると決定し、大きな話題を呼んだ。
130/30戦略は投資理論、金融工学におけるアカデミックな研究成果を商品化したものであり、米国の金融業界らしいイノベーションといえる。