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資本市場クォータリー 2007年春号
欧州無議決権優先株の現状とわが国への示唆
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岩谷 賢伸、神山 哲也
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- わが国では、数次の制度改正により柔軟な種類株の活用が可能となっているが、これまでその活用は限定的であった。しかし、わが国でも敵対的買収の脅威が高まる中、種類株の一形態である無議決権優先株の活用により、経営の安定性を維持しながら資金調達し、長期的な企業価値の向上を図ることは、企業財務戦略上一つの選択肢になるものと思われる。
- ドイツでは、支配株主の議決権を希薄化せずにエクイティ・ファイナンスを行うことを主な目的として、1990年代後半には上場企業の約2割が無議決権優先株を上場していた。しかし、株価指数の採用基準の変更や一株一議決権の原則の浸透を背景に、普通株への統合が進んだ。
- イタリアでは、個人投資家の株式投資を促すことを主目的として、1974年に無議決権配当優先株である貯蓄株の発行が認められた。1989年末には上場企業のおよそ4割が貯蓄株を発行していたが、配当の水準が低いことや普通株に対するディスカウント率が大きいことなどから発行企業数は大幅に減少した。貯蓄株の失敗を受け、ガバナンス機能を強化し、配当をより魅力的なものとした発展株の創設が現在検討されている。
- 欧州機関投資家は、一株一議決権の観点から、無議決権優先株には原則として否定的なスタンスを採っている。しかし、無議決権優先株に全く投資しないわけではなく、状況に応じてその原則を柔軟に解釈している。
- わが国において無議決権優先株を活用するに当たっては、ドイツやイタリアの教訓を踏まえ、(1)十分な流動性を確保すること、(2)支配株主や経営陣による既得権益保持の手段と市場から見られないようにすること、(3)十分な情報開示により透明性を確保すること、に留意する必要がある。
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