野村資本市場研究所｜金融システム救済に動き出す欧州各国政府

2008年9月7日のファニーメイ、フレディーマックの救済策の発表から始まった米国における一連の金融市場の混乱は欧州の金融市場へと瞬く間に波及し、各国政府による金融機関の相次ぐ救済、預金者保護の強化、そして最終的には、欧州全体による協調的な金融危機対応の導入という事態にまで発展した。
今回の欧州における金融危機においては、米国へのエクスポージャーがあまり高くないアイルランドやアイスランドなどの金融機関にも資金調達が困難な状況が広がった。
ここ数年、欧州の多くの国においても住宅価格の急激な上昇や金融機関によるバランスシートの急拡大が見られた。今回の危機の広がりは、欧州における金融市場の問題が、これまでの米国発の問題に加えて、欧州発の問題へとステージが移りつつあることを示唆している。
欧州の中でも金融危機が経済全体に与える影響については、金融機関の規模や国内の景気や財政の状況によって各国でかなりの温度差がある。また、政府が金融危機対策のために準備する金額、準備できる金額、その効果などにも差がでてくるであろう。
こうした中、欧州では投資家の興味は、今後徐々に金融機関の信用からソブリンの信用へと移っていくのかもしれない。