野村資本市場研究所｜コメルツ銀行によるドレスナー銀行買収

2008年8月31日、ドイツ銀行業界第二位のコメルツ銀行は、同第三位のドレスナー銀行を国内保険最大手のアリアンツから98億ユーロで買収すると発表した。買収は、現金、投資信託子会社のアリアンツへの譲渡、及び株式交換により行われる。
今回のディールでは、ドレスナー銀行の投資銀行業務が抱えるサブプライム・ローン関連商品での損失拡大による業績悪化に歯止めをかけると同時に、自社の保険商品の販路を拡大したいアリアンツと、ドイツ国内のリテール顧客業務を強化したいコメルツ銀行双方の利害が一致した。アリアンツはコメルツ銀行の株式30％程度を保有する大株主として、自社の保険商品の販路を確保することになる。
他方、コメルツ銀行はドレスナー銀行買収により、ドイツにおけるリーディング・バンクとなることを目指している。買収後は、340件の店舗削減と、ドレスナー銀行の投資銀行業務を含む9,000人程度の人員削減、更にはドレスナー銀行が抱えるリスク資産等の処理によるバランスシートの圧縮が当面の課題となるものと思われる。
サブプライム問題を端緒とする金融市場の混乱を背景に、今回のディールだけでなく、ドイツ銀行によるポストバンク株式取得等、欧州最大といわれるドイツのリテール・バンキング市場では再編の兆しが見え始めている。