一国の資金循環(マネーフロー)の在り方は、その国の実物経済の構造を単に反映しているばかりではなく、実物経済のあり方に大きく影響している。だからこそ、長年にわたり、わが国のマネーフロー構造の改革が叫ばれてきたのであった。
わが国が取組んできたマネーフロー改革は、二種類ある。第一は、「貯蓄から投資へ」である。すなわち銀行への個人金融資産の集中を是正し、市場型金融のウェイトを高めようというものである。第二は、「官から民へ」である。すなわち大きなウェイトを占めてきた公的金融機関のあり方を見直し、民でできることは民で担うようにしていくということである。
第一の改革については、本欄でしばしば指摘しているように、個人金融資産に占める現預金比率は高いままであり、未だ実現していない。これに対し、第二の、マネーフローを「官から民へ」転換させるための改革は、大きく進展してきたと評価すべきであろう。