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資本市場クォータリー 2008年夏号
サブプライム問題の余波を受ける米国学生ローン市場
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宮本 佐知子
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- 昨年来のサブプライム問題や金融市場混乱の余波は、米国学生ローン市場にも及んでいる。学生ローンを取扱う金融機関は、学生ローン債権を市場で売却することで融資資金を調達するが、学生ローン債権を担保とした証券化商品の組成額が急減し、資金調達が難しくなっているのである。
- 米国教育省によると、2008年9月から始まる新学期には過去最高の700万人が大学へ進学すると見込まれている。通常、家計の進学目的の資金ニーズが高まるのは夏場であり、この資金ニーズに金融機関が応じられないリスクを危惧する声が強まっていた。
- 事態の解決に向け、米国政府は2008年5月に2つの施策を発表した。第一に、FRBが5月2日、TAFの適格預金取扱機関への入札額の増額と、TSLFオークションの担保の拡大を発表し、金融機関が学生ローン債権を担保に資金を調達できるようにした。第二に、5月7日に新たな法案「Ensuring Continued Access to Student Loans Act of 2008」が成立した。これにより、学生やその家族が連邦政府の学生ローンを利用しやすくなった。また、教育省長官の権限が強化され、連邦政府保証学生ローン債権を金融機関から政府資金で購入できるようになった他、「最後の貸し手(LLR)ローンプログラム」の実施条件も明らかになった。
- これらの施策により、特に連邦政府の学生ローンを手掛ける民間金融機関の資金調達はやや改善すると見られる。また緊急時の連邦政府の融資条件も明らかになり、家計の教育資金ニーズが高まる夏場に混乱に陥るリスクは以前よりも低下したと考えられよう。ただし、米国の大学授業料が高騰する中で、民間学生ローンは奨学金や連邦政府の学生ローンでは賄いきれない部分を埋める重要な役割を果たしてきた経緯がある。それだけに、サブプライム問題や金融市場混乱の余波が学生ローン市場や、ひいては家計部門へ及ぼす影響には、引き続き注意を払う必要がある。
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