米国発の金融危機を契機とした規制強化の議論は、2007年10月のG7財務相・中央銀行総裁会議の要請を受けて、2008年4月に発表された金融安定化フォーラムの提言を出発点とするが、その後、2008年9月のリーマン・ショック、AIG問題を経て、より広範、より厳格な規制を求める動きが台頭するようになった。
特にG20金融サミットにおける銀行の健全性規制強化の議論は、2008年11月のワシントン、2009年4月のロンドン、9月のピッツバーグと、回を追うごとに、内容が強化され、また可能な限り早期に規制強化を実現しようという意向が明確になっている。ピッツバーグ・サミットでは、報酬規制が大きな柱となったことも特徴的であった。金融機関の利益が回復しつつあることが、その背景にある。公的なサポートで窮地を脱した業界が、また元の慣行に戻ることを許すまいとの政治的メッセージである。