サブプライム危機が表面化してからちょうど2年、リーマン・ショックからまもなく1年となる。2008年秋より急速に落ち込んだ世界経済であるが、各国政府による財政・金融政策の異例の措置によって、早くも出口戦略が一部で論じられる段階に入った。
一方、こうした金融危機の再発を防ぐための新たな金融秩序の構築は、入り口段階を過ぎ、佳境に入りつつある。こちらの議論の出発点は、2007年10月19日にワシントンで開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議であった。ここで「最近の金融混乱への対応は、要因の十分な分析に基づいて行われなければならない」として、金融安定化フォーラムに対して、流動性、リスク管理、デリバティブ、格付け、オフバランス分野などに関する提案を行うことが要請されたのであった。これを受けて2008年4月7日に発表されたのが、「市場と制度の強靭性の強化に関する金融安定化フォーラム報告書」であった。
その後、金融危機に関する各国首脳レベルの議論の場はG20金融サミットに舞台を移し、事務局的な機能は、金融安定化フォーラムを発展・強化する形で設置された金融安定理事会(2009年6月27日に発足会合を開催)が担うこととなった。今、2008年4月の金融安定化フォーラム報告書で改革が提言された各種の項目に、ヘッジファンド規制等も加えた形で、グローバルな金融改革の作業が本格化しつつある。またEU、米国、英国などでは、これらグローバルな改革を反映ないし先取りする形で、国内(域内)制度の整備を進めつつある。