野村資本市場研究所｜アイルランドの公的年金積立金による金融機関救済策への資金提供

アイルランドの公的年金積立金であるNPRFは、将来の人口高齢化に対応するべく2001年に創設された。毎年GNPの1%が国庫から繰り入れられ、基金からの払い出しは2025年まで行われない旨、根拠法に定められている。
金融危機対応の一環で、アイルランド政府は2008年12月、同国銀行大手3行の資本増強策を打ち出した。財務省はその財源として、法改正を行いNPRFの資金を用いるとした。
NPRFの運用ガバナンス体制は先進諸国でも広く支持されている形態である。今回のアイルランドの政策は、世界的な金融危機の余波の大きさと共に、公的年金積立金運用に関する独立性確保の難しさを示したと言える。