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野村資本市場クォータリー 2010年秋号
市場型システミック・リスクとセイフティ・ネット
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淵田 康之
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- 今回の金融危機は、市場型システミック・リスクという様相を呈したが、この背景には、伝統的な金融仲介とは異なるシャドウバンクとも言われる新たな金融仲介形態の発達がある。
- このためシャドウバンクへの規制強化の議論がある一方、こうした新たな金融仲介形態も、銀行同様、重要な満期・信用・流動性変換機能を発揮しているとの指摘がある。
- 満期等の変換機能を発揮する銀行は、預金取付けの問題を避けられないことが理論的にも証明されている。従って従来、銀行に対して預金保険や中央銀行貸出などのセイフティ・ネットが用意され、この社会的に有益な変換機能の維持が図られてきた。
- ところが金融危機後の欧米の議論は、満期等の変換機能の発揮に規制を加えると同時に、銀行やノンバンクが引き起こす危機を、公的枠組みで救済するという選択肢を極力排除しようとしている。
- このような金融危機対応では、かえってシステミック・リスクを引き起こしやすくなるとの指摘がある。むしろベイルアウトの可能性がある体制の方が、そうでない場合に比べて資源配分が最適化され、金融危機も生じにくいとの分析もある。さらに、銀行のみならず、同様な変換機能を発揮するシャドウバンクにも、セイフティ・ネットを拡大すべきとの議論もある。
- わが国は、過去の金融危機を通じて、公的枠組みでの救済を含む金融危機対応の仕組みを構築してきた。ノンバンク発の市場型システミック・リスクも、中央銀行貸出を活用しつつ抑止した。理念先行の欧米の議論に比べ、実務的にも理論的にも優れたアプローチが採用されているとも言える。ただし、その後の市場や業界の変化、欧米の金融危機の教訓、日銀法の変化等を踏まえ、現状の危機対応制度を再点検し、一段と改善していくことが望まれよう。
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