日本経済は、1990年のバブルの崩壊以降、長期低迷に陥っており、いまだその後遺症から完全には回復していない。中国において、リーマン・ショックを受けた金融緩和を背景に、不動産などの資産価格が急上昇しており、バブルの様相を呈している。中国は、日本の轍を踏まないために、その経験から次の教訓を学ぶべきである。まず、資産価格の変動は、銀行の不良債権の拡大などを通じて、金融システムの不安定要因になることに鑑みれば、金融政策を策定する際、CPIで見た物価だけでなく、株式や不動産価格の動向にも目を配るべきである。また、バブルの拡大は信用の膨張を伴うが、中央銀行はその量的伸び率だけでなく、不動産関係を中心に融資の構成の変化についても注意を払う必要がある。さらに、経済が抱えるリスクを極力、潜在的段階で把握し、先行きを展望した金融政策を実施すべきである。最後に、中央銀行の政策の重点を為替レートの安定に置こうとすると、為替市場への介入が必要となり、これにより金融性政策の独立性が大幅に制約されることになる。