野村資本市場研究所｜資源・エネルギーを中心に加速する中国CICの海外投資

2007年9月に資本金として2,000億ドルの外貨準備を移管されて設立された中国投資有限責任公司（China Investment Corporation：CIC）は、2009年8月7日に設立後初めて発表されたアニュアルレポート上で、海外運用分は2,000億ドルの半分の1,000億ドル強を充てるとの方針変更を発表した。加えて、2009年4月の投資部門の再編、同年6月の人材募集の成果が、2009年夏場以降のCICの海外投資の加速につながっている。
プレスリリース上、2009年7月～11月までの5ヶ月間で、CICによる戦略投資やM&Aといった海外投資は既に計9件、約89億ドルに上っている。投資分野は、全て資源・エネルギーで、対象国・地域も米国、カナダ、香港、シンガポールといった先進国・地域から、ロシア、カザフスタン、モンゴル、インドネシアといった新興市場にまで及んでいる。不動産やPE等のオルタナティブ投資も引続き検討している模様である。
CIC以外の中国企業による対外直接投資も注目される。2009年7～9月の第3四半期の中国企業の対外直接投資（非金融部門）は204.7億ドルで、前年同期比190.4％、前期比135.3％増加した。CICの海外投資は、中国企業の対外直接投資の呼び水となりながら、今後も鉱山、エネルギー、不動産への投資を拡大・加速していく見通しである。