野村資本市場研究所｜運用資産の組み替えを進める中国CICの2010年運用実績と今後の展望

中国投資有限責任公司（CIC）の2010年の海外運用（グローバルポートフォリオ）の運用リターンは、2009年と同様の11.7％を達成した。また同年は新たに357億ドルの投資を行い、現金の比重が低下し、株式とオルタナティブ投資の割合が大幅に上昇した。
2010年末のCICのグローバルポートフォリオ（分散投資）では、株式の地域別内訳は2009年末に比べ大きな変更は無かったが、債券では社債の割合が増加し、エージェンシー債の割合が減少した。また2010年は、金利商品やクレジット商品など新たな金融商品への投資が行われた。資源・エネルギー分野中心の直接投資も継続された。
2010年から2011年上半期にかけて、CICでは、アセットクラスの再定義、フロント部門の機構改革と新CIOの任命、人材配置・人材開発の強化、海外拠点の設置、グローバルな連携強化が行われた。
今後はCICの増資後の新規投資の再開が注目されている。米国債格付けの引き下げ後、外貨準備本体を管理する国家外為管理局が運用の多様化戦略を引続き打ち出している中で、CICについても、円建て資産での運用の取組みも含めた運用資産の多様化に向けた次の一手が注目される。