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野村資本市場クォータリー 2011年春号
米国でウェルスマネジメント・ビジネスを拡大するロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)
石井 康之
要約
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  1. カナダの最大手金融グループであるロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)は、約10年前に米国のウェルスマネジメント・ビジネスに本格的に参入した。企業価値、顧客満足度、営業担当者満足度の向上を重視した拡大によって、準大手の規模に成長するとともに、JDパワー社による顧客満足度調査(2010年)において、米国のフルサービスの証券会社の中で第2位という非常に高い評価を獲得した。
  2. RBCの戦略は富裕層に焦点を当てたものであったが、経営資源を投入すべき分野を明確にしてから実行に移した。財務力とブランド力というRBCの強みを活かせる複数の中堅規模の地方証券会社を買収し、買収先には経営の裁量を与え、営業担当者のロイヤリティの向上を図ってきたことが成功要因と見られる。
  3. 金融危機の影響で、RBCの安定した財務基盤と落ち着いた企業文化に魅力を感じた大手証券会社の営業担当者が、RBCに移籍するようになった。さらにRIA(登録投資アドバイザー)カストディーの分野への進出を決めるなど、米国のリテール証券業界の状況変化に応じて、戦略を変化させている。RBCが競争の激しい米国ウェルスマネジメント・ビジネスでさらに成長と高付加価値化を実現できるのか、今後の行方が注目される。

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