2010年のギリシャ救済から2年、他国への伝染を防ぐために様々な対策が講じられてきたが、ついに欧州のソブリン危機は大国スペインへと飛び火する状況となった。スペイン政府は6月、不動産バブルの崩壊で経営難に陥った銀行の資本増強に今後最大で1,000億ユーロが必要と発表、資金支援をEU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)に要請した。
注目に値するのは、今回、スペインは、政府にではなく銀行への直接支援を要請しているという点である。これまで欧州で経営難に陥った銀行は、全て各国の財政で処理を行ってきた。しかし、銀行救済による政府財政の悪化は、政府の信用力の低下や銀行が保有する国債価格の下落という形で、再び銀行の信用力に跳ね返るリスクがある。財政再建中のスペイン政府は、この負のフィードバックを生じさせないために、欧州安定メカニズム(ESM)という超国家的な機関から銀行への直接支援を求めたのである。