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野村資本市場クォータリー 2013年春号
拡大するタイの住宅金融
小島 俊郎
要約
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  1. タイの持家率は81%と非常に高い率なため、住宅不足より供給過多の方が問題となることが多いといわれる。2004年以降は適正バランスと見られる7〜9万戸程度で推移していたが、2008年以降再び供給が増加し始め、2010年には10万6,893戸と10万戸を上回った。最近の傾向はコンドミニアム(アパートを含む)の供給が増加しており、バブルが発生している可能性があるとみたタイ中央銀行は2011年1月から予防的措置として住宅ローンの規制強化に乗り出した。
  2. 低所得者向け住宅の供給を二つの政府機関が行っている。一つ目は、国家住宅公社で、「気遣う」を意味する「バーン・ウアアートン・プログラム」により約25万戸の住宅を建設し、同プログラムで低所得者が約15万戸の住宅を取得した。二つ目はコミュニティ組織開発機構で、「安定した居住」を意味する「バーン・マンコン・ハウジング・プログラム」を実施している。政府が提供する住宅ローンと補助金によって都市部にあるスラムの再開発を促進し、5万4,000戸以上の住宅を低所得世帯が取得している。
  3. タイの住宅ローン市場規模は、2006年以降増加傾向にあり、残高ベースで2001年の6,875億バーツから2011年の2兆368億バーツへと3倍近くの規模になっている。2011年の新規貸出のうち、商業銀行が約6割を占め、次いで政府住宅銀行が約3割となっている。GDPに対する住宅ローンの比率をみると、2011年は19%と、香港(43%)、日本(38%)、韓国(36%)などのリテール金融が進展している国に比べると低いが、インドネシアやフィリピンなどよりは高い水準となっており、リテール金融が広まりつつあることが分かる。
  4. 金利は変動金利が一般的である。金利水準は各金融機関で最低金利を定めており一般の住宅ローンに適用される。顧客獲得のための各種優遇金利が用意されておりタイでも金融機関間の住宅ローン獲得競争が激しくなりつつあるようだ。2010年5月、住宅を初めて購入する者に対して2年間金利をゼロとするゼロ金利融資が政府住宅銀行に導入され、開始初日には5,000人以上の人が申し込みを行うほど人気が出た。融資率の限度は90%が一般的といわれていたが、ゼロ金利融資の登場で変化が見られているようだ。融資期間は30年が主流となっている。当初3年間は繰上償還が制限され、違反した場合は融資残高の3%を違約金として課している。
  5. タイの現在の住宅事情の状況は、我が国の昭和時代の状況に類似しているように思える。住宅不足を解消するために住宅公団が住宅を供給する一方で、政府金融機関である住宅金融公庫が中心となって住宅ローンを提供していた時代である。今後は住宅ローンの顧客獲得競争が激化するにつれ民業圧迫の声が高まる懸念があり、また、長期・固定金利の住宅ローンを導入するためには、長期資金の調達が不可欠となろう。こうした課題解決のために、住宅金融公庫がRMBSの発行を通じて民間金融機関の固定金利の住宅ローン供給を支援する住宅金融支援機構へと移行したケースが参考になる可能性がある。

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