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野村資本市場クォータリー 2014年秋号
米国における地銀再編の展開
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淵田 康之
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- 米国では、1980年代以降、銀行の立地規制の緩和を背景に、地域を越えた銀行M&Aが活発に行われるようになっている。地銀であっても、多くは上場企業であり、特定の地域に自らの成長機会を制約されるのではなく、企業価値最大化のために、全米を見渡し、有力市場に進出していくことが当然となっている。
- ウェルズ・ファーゴとUSバンコープが、今日、米地銀のツー・トップと成り得たのも、他の多くの地銀と異なり、戦前より広域経営を重視してきたこと、そして戦後も、人口が多い、あるいは人口増加率の高い市場の銀行を買収していったことが背景にある。
- 成長市場への進出により、銀行の本社が移転することも珍しくない。コメリカの場合、人口減少に悩むデトロイトから、人口増加の著しいダラスに本社を移した。地域を越えた経営戦略の重要性を反映し、米銀では行名に地域の名称を付ける事例が激減している。
- 地元の銀行の本社が他に移転するようなことがあっても、必ずしも同行の旧来の地盤でのプレゼンスが低下するわけでもなく、また地元経済に大きなダメージがもたらされるわけではない。
- 米地銀のM&A戦略の底流には、株式市場における評価を重視する姿勢がある。またそれに基づく意思決定を促す、コーポレート・ガバナンスとマネジメントの存在がある。
- わが国の地銀においても、政治や行政に促されるまでもなく、地域を越えた再編・統合は不可欠の選択肢となっていこう。地元経済が縮小する中、株主以外のステーク・ホルダーの意向ばかりを重視していては、変革は困難となりかねない。その意味で、株式市場を重視したコーポレート・ガバナンスが機能するなかで、地域を越えた銀行のM&Aが展開されてきた米国の状況は参考となろう。
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