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野村資本市場クォータリー 2014年秋号
地域の課題克服に活用されるソーシャル・インパクト・ボンド
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神山 哲也
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- 英国では、日本以上に首都ロンドンへの一極集中が進んでおり、地方自治体における財政の悪化や高齢化が問題となっている。そうした中、地域における社会的課題の克服プログラムの新たな資金調達手法として、ソーシャル・インパクト・ボンドに対する期待が高まっている。
- ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)では、社会的課題の克服プログラムに対して投資家がアップフロントで費用を拠出し、当該課題の克服度合に応じて自治体等が投資家に支払いを行う。これにより、自治体としては、社会的課題及びその克服に伴うコストを軽減できる一方、投資家はESG(環境・社会・ガバナンス)投資ニーズを満たし、プログラムの成功度合によっては、幾ばくかのリターンも期待できる。
- 英国では、元受刑者の再犯率低下を目的とした世界初のSIBが2010年に設定されたことを皮切りに、要支援児童や若年層の就業支援などを目的とした15件のSIBが設定されている。投資家に対しては、プログラム全体で設定された数値目標の達成度合に応じて支払いが行われるものや、プログラム対象者個々人における達成度合いに応じて少額の支払いが累積していくものがある。
- 米国では、大手金融機関が関与したSIB設定の動きが見られる。ゴールドマン・サックスは2件のSIBに投資家として参加しており、CSR(企業の社会的責任)活動としてアピールしつつ、幾ばくかのリターンを追求したものと思われる。メリルリンチはSIB持分を富裕層や機関投資家顧客に販売する販社として参加しており、顧客のESG投資ニーズに応えるための付加価値サービスと位置付けているものと思われる。
- SIB投資家は、これまでのところ、ほとんどが慈善投資家となっている。今後、SIBが本格的に普及していくには、手法・形態の標準化や、リターン実績の積み上げが必要となろう。日本においても、自治体における財政の悪化や高齢化の問題がある中で、英国や米国との社会的課題の違いなどを踏まえつつ、前向きな議論が展開されることが期待される。
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