野村資本市場研究所｜米国の新リタイアメントプランmyRAの導入

オバマ大統領は、2014年1月28日に開催された一般教書演説において、新リタイアメントプラン制度「myRA（my Retirement Account）」の導入を公表した。
myRAは、年収129,000ドル以下の個人、若しくは、パートナーと合算した年収が191,000ドル以下であれば加入でき、拠出限度額は、年間で最大5,500ドル、50歳以上であれば6,500ドルとなっている。運用は、政府によって利払いや元本が保証される米国債を通じて行われ、受け取る金利については、Roth IRAと同様に非課税となる。また、資産残高が15,000ドルに達する、或いは、加入から30年を経過すると、Roth IRAに強制的に移行される。
米国では、税控除資産の3分の2が高額所得者上位20％で占められている等、資産を必要とする低・中間所得者層の従業員の退職資産形成が効率良く進んでいない。myRAの導入は、こうした低・中間所得者層の従業員が、税優遇口座を活用し、気軽に退職資産形成を始めることができる制度になると考えられる。
myRAには、一部では否定的な意見もあるが、非課税、且つ、政府保証付きの債券で運用できる制度は、現在、退職資金口座を持っていない低・中間所得層が、長期投資の効果を享受しながら退職に備える第一歩となるであろう。