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2014年 冬号
普及が進む英国ジュニアISAの現状とわが国への示唆
野村資本市場クォータリー 2014年冬号
普及が進む英国ジュニアISAの現状とわが国への示唆
宮本 佐知子
わが国では2014年からNISA(少額投資非課税制度)がスタートしたが、これは英国のISAに倣って導入された制度である。英国のISAは18歳以上の英国在住者を対象とする資産形成制度であるが、子どもの将来のための資産形成制度として「ジュニアISA」がある。
ジュニアISAは、英国在住の18歳未満の子どもを対象とする税制優遇の付された資産形成制度で、親や祖父母などが資金を拠出することが多く、利用者の所得制限はない。ジュニアISAは2011年11月に導入された新しい制度であるが、今後、子どものための資産形成制度として重要な存在になると見られている。
英国では、ジュニアISAが導入される前は、子どものための資産形成制度としてチャイルド・トラスト・ファンド(CTF)が利用されていた。ジュニアISA導入以降は、両制度が併存する状況が続いてきたが、2013年末にCTFからジュニアISAへの移行が認められたため、今後はジュニアISAの口座数増加に弾みが付くと見られる。
英国でジュニアISAは着実に普及が進んでいる。制度導入に見るわが国への示唆としては、第一に、制度普及へ向けた政府と金融機関の取り組みの重要性、第二に、家計が利用しやすい制度設計の重要性が考えられよう。
わが国では、子どもの将来のための資産形成を支援する制度は導入されていない。高齢化進展や財政負担増などを背景に、家計側での自助努力がますます求められるようになると見込まれるため、今後は子どものための資産形成制度へのニーズは、一層高まると考えられる。わが国の場合、子育て費用の中でも特に大学教育費用をいかに賄うかは大きな課題となっている。子どもが小さい頃から将来を見据えて、時間を味方に付けて教育資金作りを支援するための制度は、多くの家計にとって利用価値の高い制度になるのではないか。
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