英国には古くから土地信託(trust)の伝統があり、1535年には土地利用などからの収益権を定めたユース法(Statute of Use)が制定された。信託の伝統と並行する形で衡平法(equity)の法理が定着し、委託者(地主)の権利を擁護する考え方を生んだ。この衡平法の法理が1844年共同出資会社法に受け継がれ、それが19世紀末に米国に渡って各州の会社法に継受された。そして20世紀に入り裁判所の判例も加わって、取締役の信認義務や株主権擁護という概念が次第に定着した。土地信託における委託者の権利と受託者の責任(fiduciary responsibility)の考え方が米国に輸出され、株主資本主義を普及させたことになる。