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野村資本市場クォータリー 2016年秋号
官民パートナーシップの推進や資本市場の活用によりインフラ整備の促進が期待されるフィリピン
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北野 陽平
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- フィリピンでは、2016年6月30日にロドリゴ・ドゥテルテ新政権が発足した。新政権下では、社会・経済政策10項目の一つとして、インフラ整備の促進が挙げられている。インフラ整備資金の主な調達源は財政支出であり、政府はインフラ向け支出の対GDP比率を2012年以前の2%程度から2016年までに5%へと高める目標を掲げてきた。今後、政府は2022年までに同比率を7%まで引き上げる計画である。
- しかし、フィリピンが中長期的に膨大なインフラ投資需要に対応していくためには、民間資金の更なる活用が重要である。民間部門による投資を促進するためには、公的部門と民間部門がインフラプロジェクトのリスクを分担する官民パートナーシップ(PPP)が鍵を握ると考えられている。フィリピンのPPP制度は歴史が長く、国際的に一定の評価を得ているが、これまでのところ十分な成果に結びついていない。こうした中、PPPの制度的枠組みを強化するため、PPP法の制定が検討されている。
- さらに、PPP推進機関、金融規制当局、証券取引所は、資本市場の活用により民間資金を呼び込むため、連携して様々な取組みや議論を進めている。具体的には、(1)PPP企業の資本市場へのアクセス向上を目的とした上場規則の改正、(2)銀行融資を補完する役割が期待されるプロジェクトボンドの発行促進、(3)公的年金基金の主導による新たなインフラファンドの設立、(4)インフラプロジェクトの受け皿となる不動産投資信託の制度改正、が挙げられる。
- インフラ整備資金の調達促進に向けて様々な方策が打ち出される中、留意すべき点もある。第一に、PPPについて、政府は制度的枠組みの強化だけでなく、実際に民間部門との間でリスクを適切に分担する意思を明確に示す必要がある。第二に、資本市場の活用については、発行体の目線に立った制度整備だけでは不十分であり、投資家のニーズに即した制度設計も考慮される必要がある。政策の実効性を高める運営が求められる中、新政権がどのような手腕を発揮していくか、今後の動向が注目されよう。
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