戦後住宅公庫融資が導入されて以来ごく最近まで、住宅ローンにイノベーションといえるようなものはなかったといってよい。顧客価値創造がなければ安さで闘うしかない。実際、低金利環境のもと銀行等の金利引き下げ競争は焦土戦の様相を呈している。
しかし、住宅金融をめぐる社会環境は激変している。日本人の平均寿命は戦後から約20年延び、現役時代と高齢期の間に20年近いアクティブな第二の人生がある時代になった。新しい人生には新しい住生活が必要だ。地方創生の呼びかけもあり遠郊外や地方に住みかえるシニア層が増えてきた。新たな住みかえ先としてリタイアメントコミュニティーの建築促進が謳われている。30代・40代で買うマイホームが「終の住処」とは限らない時代が始まったのである。
こうした中、旧泰然たる住宅金融のなかにも少しずつ新しい動きが生じている。