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野村資本市場クォータリー 2017年秋号
決済インフラ改革−混迷する日本、革新する米英
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淵田 康之
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- 2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略」は、キャッシュレス決済比率を今後10年間で現状の倍の4割程度とするというKPIを設定した。ここでキャッシュレス決済とは、クレジットカード、デビットカード、電子マネーによる決済を指している。しかしこの定義では、カードを介さず銀行口座から即時引落しが行われるスマホ決済や、モバイルP2P送金など、諸外国で普及しつつある新たな決済サービスは、わが国のキャッシュレス化政策に正当に位置づけられないこととなる。
- 一方、「未来投資戦略」が、決済業務等をめぐる横断的な法制の整備の検討を盛り込んだのは、キャッシュレス化の推進という観点からも適切である。為替業務を銀行の独占業務としている銀行法の抜本的見直しや、現状、経済産業省の管轄となっているクレジットカード関連業務を決済業の一形態と定義する法整備まで実現できるかどうかが注目される。
- こうしたなか、内外為替一元化コンソーシアム、MUFGコイン、Jコイン、一部の地銀が主導するスマホ決済サービス、メガバンク・グループ3社による個人間送金サービスなど、新たな決済サービスを巡る実験や構想が相次いでいる。来年春には、AliPayが日本人向けにサービスを開始するという報道もある。しかし決済の将来像への国民的合意形成も、統一的なガバナンス主体も欠いたまま、インターオペラビリティの無い決済サービスが乱立しても、混迷が深まるのみである。
- 米国も英国も、ユーザーを含む数百人のステークホルダーが会合を重ね、自国の決済サービスの将来ビジョン作りを既に終えた。両国では今、このビジョンの実現に向け、決済インフラの大改革が本格化しつつある。
- 米国は、決済インフラ間競争を打ち出す一方、英国は、単一の新インフラの構築を目指すなど、アプローチの違いはある。しかし、両国とも、決済サービスを巡る競争促進を重視すると同時に、新たなガバナンス主体を設置し、各種の標準化や規定の統一などを通じて、インターオペラビリティを確保することを改革の重要な柱としている。
- 法制面の改革だけではなく、インフラ面の対応も急がなければ、数年後には、米英とわが国の決済サービスの間には、深刻な格差が顕在化していることとなろう。
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