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野村資本市場クォータリー 2017年冬号
民間資金の活用によりインフラ整備を促進するインドネシア
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北野 陽平、ラクマン ベディ グンタ
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- インドネシアのジョコ・ウィドド政権下では、インフラ整備が国家の最重要政策の一つとして掲げられている。インフラ投資需要は膨大であり、政府は2015年から2019年にかけて、5,519兆ルピア(GDPの約9%に相当)のインフラ投資を計画している。しかし、政府は財政面の制約から、中長期的に十分な予算を確保できるか不透明な中、民間資金の活用が不可欠と認識しており、必要資金の3割を民間部門から調達する計画である。
- インドネシアでは1998年に官民パートナーシップ(PPP)の法的枠組みが導入されたが、これまでは実質的に機能していなかった。主な要因として、土地収用制度の未整備や不十分な政府支援等が指摘されている。しかし、2012年に土地収用法が制定され、何度かの改正を経て土地収用の実行性が高められてきた。また、(1)プロジェクトに対する保証や投融資を行う機関の設立、(2)建設コストの一部を政府が負担するバイアビリティ・ギャップ・ファンディング、(3)プロジェクトの運営段階における収入を政府が補償するアベイラビリティ・ペイメント、等の包括的な金融支援の枠組みが導入されてきた。この結果、民間部門の投資環境は改善傾向にあり、今後民間資金の動員につながることが期待される。
- 民間部門からの資金調達においては、現在インフラ整備資金のほとんどが銀行借入により賄われている。しかし、銀行の預貸率が中央銀行により定められた上限にほぼ達している状況等に鑑みると、銀行貸出だけで膨大なインフラ投資需要に対応していくことは難しいと考えられる。こうした中、資本市場、特に現地通貨建て債券市場からの資金調達の重要性が高まっており、中でもインフラプロジェクトとの親和性が高いスクーク(イスラム債)の発行促進が有効な対応策として注目され始めている。
- 今後の課題として、(1)海外から投資家を呼び込む上での為替リスクへの対応、(2)資本市場からの資金調達を促進する上での国内機関投資家の育成やインフラ関連商品の拡充、が挙げられる。現政権が発足して2年以上が経過し、インフラ整備の加速に向けて様々な取組みが進められてきたものの、十分な成果につながったとは言い難い。しかし、前述の通り、PPP制度の整備に伴い、民間部門による投資を促進するための土台はある程度構築された。任期満了の2019年に向けて、正念場を迎えるのはまさにこれからであろう。
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