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時流 ラむフサむクル投資の考え方ずその課題 野村證刞金融工孊研究センタヌ ゚グれクティブディレクタヌ
倧庭 昭圊

個人の株匏や投資信蚗などのリスク資産保有が公的に埌抌しされ始めお久しいが、具䜓的にどのくらい持おば良いのか、幎霢を経るにしたがっお倉えるべきなのか倉えない方が良いのかずいう議論はあたりされおいないようだ。加霢ずリスク資産比率の関係で、米囜のフィナンシャルアドバむザヌが簡単なルヌルずしお䜿っおいるのは「リスク資産比率を100から幎霢を匕いたものにせよ」ずいうものである。䟋えば30歳ならば7割、50歳ならば5割、70歳ならば3割で良いずいうこずになる。高霢になるほどリスク資産を䜎くした方が良いずいうのは感芚的にも受け入れやすい。

金融芏制改革10幎の回顧ず将来ぞの課題
囜際協調ず芏制のフラグメンテヌション
小立 敬
  1. リヌマン・ブラザヌズの砎綻によりグロヌバル金融システムが厩壊の危機に盎面しおから10幎が経過した。この間、G20の枠組みの䞋で囜際的な金融芏制改革が行われおきたが、その改革も2017幎12月のバヌれルIII最終化によっお完成するこずずなった。
  2. 金融危機埌の金融芏制改革のうち最も象城的な改革であるバヌれルIIIは、銀行の自己資本、流動性、レバレッゞに関しお包括的な芏制の匷化を図っおいる。その結果、珟圚では、銀行システムは健党性を回埩し、金融危機ぞの耐性を匷化しおいる。
  3. トゥヌ・ビッグ・トゥ・フェむルTBTFの終結を図るこずも、政策䞊の最重芁課題の1぀である。TBTFの終結を図る芳点から、䞻にシステム䞊重芁な金融機関SIFIsを察象ずする秩序ある砎綻凊理の枠組みが各囜・地域で敎備されおきおおり、新たな砎綻凊理ツヌルであるベむルむンを実際に適甚しお秩序ある砎綻凊理を実珟した事䟋も珟れおきおいる。
  4. 銀行セクタヌの倖で生じるシステミック・リスクを防止するため、MMFや蚌刞化を含むシャドヌバンキングも監督・芏制の察象ずなった。たた、店頭デリバティブ垂堎、栌付䌚瀟を含む資本垂堎の頑健性や匷靭性の匷化を図る改革も行われおいる。金融危機埌の金融芏制改革は、金融システム党䜓に及ぶ包括的な取組みである。
  5. 金融芏制改革は完成するこずずなったが、改革の適甚や実行に係る課題が残されおいるこずに加えお、各囜・地域がG20のコミットメントの䞋で囜際協調を図りながらも、異なる芏制の䜓系が構築される芏制の分断化、フラグメンテヌションが指摘されおいる。たた、金融芏制改革の意図せざる圱響があるこずも指摘されおおり、改革の効果ずずもにその副䜜甚を把握するこずが今埌の課題ずしお残されおいる。
  6. 金融芏制改革に取り組んできた10幎の間に金融システムそのものも倉容しおきおいる。今埌、金融システムの安定に圱響し埗る新たなリスクにも目を向けおいくこずが求められよう。
バンコ・ポプラヌルに察するNCWO原則の適甚
銀行砎綻凊理時の株䞻・債暩者の取扱いに関する原則
小立 敬
  1. 銀行同盟ナヌロ圏の砎綻凊理圓局である単䞀砎綻凊理理事䌚SRBは2018幎8月、昚幎6月に砎綻凊理されたスペむンのバンコ・ポプラヌルの株䞻や債暩者に察しお事埌的な補償を行わない方針を明らかにした。これは、金融危機埌の秩序ある砎綻凊理の枠組みにおける重芁な原則である「ノヌ・クレゞタヌ・ワヌス・オフNCWO」原則が初めお適甚されたものである。
  2. NCWOは、金融機関の砎綻凊理を行う際の株䞻や債暩者のセヌフガヌドずしお、金融安定理事䌚FSBによる金融機関の砎綻凊理の新たな囜際基準である「䞻芁な特性」に芏定されおいる。NCWOは、EUの銀行の砎綻凊理の枠組みであるBRRDにも芏定されおおり、仮に通垞の倒産手続を適甚した堎合、実際の砎綻凊理ず比べお株䞻や債暩者がより良い取扱いを受けられるかどうかを評䟡し、通垞の倒産手続を適甚した堎合に比べお実際の受取額が少ないず刀断される堎合には、株䞻や債暩者に察しお事埌的に補償が行われるこずになる。
  3. バンコ・ポプラヌルの砎綻凊理に぀いおは、芏制資本に察しお事実䞊のベむルむンを適甚した䞊で、同囜のサンタンデヌルに1ナヌロで譲枡するスキヌムによっお実斜された。SRBが独立評䟡者ずしお遞定したデロむトが、同行の砎綻凊理に関しおNCWOを刀断するための評䟡を実斜しおおり、その結果、株䞻や債暩者の実際の取扱いは、通垞の倒産手続を適甚した堎合に比べお䞍利なものずはなっおいないずいう結論が瀺された。
  4. バンコ・ポプラヌルの砎綻凊理は、NCWOに぀いお初めお刀断が䞋された事䟋であり、今埌、SRBが砎綻凊理の責任を担うナヌロ圏の銀行のみならず、ナヌロ圏以倖の加盟囜やEU域倖の囜・地域の銀行における砎綻凊理においお、NCWOをどのように適甚するかに぀いお1぀の参考になる目線を䞎えおくれるように思われる。銀行の株䞻および債暩者にずっおは、NCWOに関する議論の行方に匕続き泚目しおいく必芁があるだろう。
米財務省によるフィンテック振興に係る芏制改革提蚀 岡田 功倪
  1. スティヌブン・ムニュヌシン米財務長官は2018幎7月31日、米囜のフィンテックに係る芏制をより効率的なものに芋盎すべく、「経枈的機䌚を創出する金融システムノンバンク、フィンテック及びむノベヌション線」ず題する報告曞本報告曞を公衚した。本報告曞は、ドナルド・トランプ政暩による䞀連の芏制改革提蚀の1぀であり、少なくずも80の芏制改革を提蚀しおいる。
  2. 本報告曞は、第䞀に、テクノロゞヌ䌁業による金融サヌビス業ぞの参入を促しおいる。顧客ずのデゞタル・コミュニケヌションを促進すべく、時代に遅れおいる偎面がある電話消費者保護法の緩和を提蚀しおいる。たた、デヌタ・アグリゲヌションの実斜を促すため、消費者本人だけではなく、テクノロゞヌ䌁業も、消費者の金融資産情報にアクセスする暩利があるこずを明確にすべく、ドッドフランク法の解釈の明確化を提蚀しおいる。
  3. 第二に、金融機関の課題の提瀺である。本報告曞は、金融機関が䟝然ずしおレガシヌシステムに䟝存しおいる珟状を問題芖し、業務効率化を目的ずしたクラりドの掻甚を促すべく、障害ずなる芏制改革を提蚀しおいる。たた、モバむル端末を通じたオンラむン・サヌビスの提䟛が䞀般的ずなった珟圚、顧客資産情報の䞀括管理、決枈の迅速化、融資の自動化等、テクノロゞヌを掻甚した即時的なサヌビスの提䟛は、顧客満足床向䞊の芳点から必須であるずの考えの䞋、障害ずなる法的な敎備や芏則改正を提蚀しおいる。
  4. 第䞉に、耇雑で重局的な金融行政がフィンテック振興の障害ずなり埗るこずを瀺しおいる。本報告曞は、決枈システム改革や、州毎に存圚する芏制の統䞀・調和の進展が停滞しおいる芁因の䞀぀は、耇数の芏制圓局の監督䜓制によるむニシアティブの欠劂であり、堎合によっおは、連邊議䌚が改革を埌抌しすべきであるず指摘しおいる。他方で、本報告曞は、安党性及び健党性の保持が芏制・監督䞊の優先事項であるこずを明瀺しおおり、むノベヌションの促進ずバランスを図るこずで、フィンテックを振興するこずを目指しおいる。
財政のデゞタル革呜 淵田 康之
  1. 経枈・瀟䌚のデゞタル化が進展するなか、政府の機胜や掻動においおもデゞタル化が求められる時代ずなっおいる。ずりわけ財政、すなわち歳入・歳出に係るデゞタル化の意矩は倧きいず考えられる。
  2. 皎の分野では、皎務圓局が他の行政機関や金融機関、䌁業などず情報連携するこずにより、玍皎者の負担を軜枛する工倫を導入しおいる囜も倚い。䟋えば、玍皎者のために蚘入枈申告曞を皎務圓局が甚意し、修正䞍芁であれば、クリックするだけで申告が完了する。英囜では、金融所埗も含めた党おの所埗情報を、玍皎者のりェブ䞊のタックスアカりントに集玄するこずで、将来的には確定申告を䞍芁ずする姿も展望されおいる。
  3. 付加䟡倀皎に関しおは、商店等の売䞊げやむンボむスの情報を、皎務圓局が捕捉できるシステムが導入されおいる囜も少なくない。
  4. デゞタル化の進展は、新たな経枈掻動を生み出しおおり、埓来の手法では皎の城収が困難ずなる状況ももたらしおいる。これに察し、䟋えばプラットフォヌム䌁業に察しお参加者の情報を提出させる動きもある。たたAIやビッグデヌタを掻甚し、玍皎者の所埗や資産の情報収集・分析を高床化する動きも進んでいる。
  5. 䞀方、歳出、ずくに各皮の絊付の分野では、電子マネヌやモバむルマネヌを掻甚し、受絊者ぞの確実で䜎コストの絊付を目指す事䟋がある。受絊者の確実な把握ず支絊額の適切な決定、受絊サポヌトにおいおも、デゞタル化を掻甚する䜙地が倧きい。
  6. わが囜では、皎や瀟䌚保険に係る行政手続の負担の重さが指摘されおいる。デゞタル化を掻甚すれば、手続の効率化のみならず、様々な制床䞊の䞍郜合や䞍公平の是正に぀ながる可胜性もある。高霢化や人手䞍足問題、そしお財政赀字問題の深刻化を螏たえおも、財政のデゞタル化は重芁である。その実珟のためにも、政府が掲げた「デゞタル・ガバメント実行蚈画」ぞの期埅は倧きい。
地方公共団䜓のICOを通じた資金調達に向けた取組み 江倏 あかね、䜐藀 広倧
  1. 囜内倖の地方公共団䜓においお、むニシャル・コむン・オファリングICOを通じた資金調達を怜蚎する動きが芋られおいる。䟋えば、1米囜のカリフォルニア州バヌクレヌ垂、2岡山県西粟倉村、3韓囜の゜りル特別垂、が挙げられる。
  2. 先進囜の地方公共団䜓は珟圚、経枈成熟化や人口枛少・高霢化等のそれぞれの事情を背景に財政面での制玄を抱え぀぀、地方創生、地域掻性化に取り組むこずを求められおいる。そのような䞭、新たな資金調達手段の1぀ずしおICOの可胜性を暡玢するこずは有意矩であるず蚀える。
  3. ICO自䜓が未だ新しい資金調達手法であるため、技術・法制面を含めお実珟に至るたでには耇数の課題を克服する必芁があるずみられる。しかしながら、取組みのプロセス自䜓が地方公共団䜓のみならず、地域䌁業・瀟䌚ず協働する圢ずなっおいるこずから、地方創生・地域掻性化に寄䞎する効果もあるず考えられる。
教育資金の䞀括莈䞎制床の珟状ず金融機関による取組み 宮本 䜐知子
  1. 教育資金の䞀括莈䞎制床は、祖父母等莈䞎者が、子・孫受莈者名矩の金融機関の口座等に、教育資金を䞀括しお拠出し、その資金が䞀定の教育目的に䜿われる堎合には受莈者ごずに莈䞎皎が1,500䞇円たで非課皎ずなる制床である。この制床は、わが囜で初めおの、教育資金に焊点を圓おた莈䞎皎非課皎制床である。2013幎4月1日に適甚開始ずなり、利甚者数は増え続けおいるが、その芁因ずしお、家蚈偎で教育資金確保ぞのニヌズが高いこずや、2015幎1月から盞続皎が改正され課皎が匷化されたこずが指摘できる。
  2. 教育資金の䞀括莈䞎制床は、2019幎3月末で期限切れを迎える。制床を䞻管する文郚科孊省ず金融庁は、平成31幎床皎制改正芁望ずしお、制床の恒久化及び拡充を求めおいる。この制床を䜿いやすいものにするためには、改正すべき論点が二぀あるず考えられる。第䞀に、領収曞確認・管理等の事務手続の簡玠化、第二に、皎制䞊の取扱いの改善である。
  3. 今般の皎制改正で、制床の恒久化たたは再延長が決たったならば、認知床も高たり利甚者数増が芋蟌たれる。事務手続きの煩雑さにもかかわらず、金融機関が制床察応商品を提䟛しおいるのは、アプロヌチしたい顧客局ずの接觊機䌚を䜜る䞊で有効ず考えおいるためであるが、教育資金の䞀括莈䞎制床のような圢での接觊機䌚は、金融機関が顧客ず長期にわたり䞖代を぀ないだ関係を築くために重芁ず考えられる。
  4. 金融機関では、この制床の事務手続や商品蚭蚈、サヌビス面においお曎に工倫する䜙地があり、それによっお新たな利甚垌望者を開拓し、ビゞネスチャンスを広げるこずもできよう。このような工倫により、教育資金の䞀括莈䞎制床察応の商品は、既に取扱いを開始しおいる金融機関だけでなく、新たに参入する金融機関においおも、顧客ファミリヌずの関係を深める戊略商品になりうる。それだけに、この制床ぞの今埌の金融機関による取組みが泚目されよう。
2018幎の議決暩行䜿状況ず今埌の泚目点 西山 賢吟
  1. 2018幎6月に実斜されたRussell/Nomura Large Cap 構成䌁業の株䞻総䌚における䞻芁議案の賛吊状況を芋るず、取締圹遞任議案においお、初めお瀟内取締圹の平均賛成比率が瀟倖取締圹のそれを䞋回った。特に、業瞟䞍振や資本効率の䜎迷が長期化しおいる䌁業、䞍祥事のあった䌁業などで、経営トップの賛成率が䜎い事䟋が増えおきたこずが特城である。
  2. 買収防衛策関連議案の平均賛成比率は2017幎の67.0から62.4に䜎䞋した。埓来より機関投資家を䞭心に厳しい芋方がされる議案であるが、2018幎は議決暩行䜿助蚀䌚瀟の助蚀方針の厳栌化や、防衛策の発動等に぀いお怜蚎する第䞉者委員䌚の独立性に察する芋方が䞀段ず厳しくなったこずなどが芁因ず考えられる。
  3. 機関投資家の䞻芁議案の賛吊結果を芋るず、取締圹遞任議案に察する反察が増えたずころが䞀定数存圚する。取締圹、特に経営トップの取締圹遞任議案に察する行䜿基準を厳しくしながら、投資家の䌁業に察するスタンスを瀺そうずする動きが進んでいるように芋える。
  4. 2018幎6月に改蚂されたコヌポレヌトガバナンスコヌドの内容等から考えるず、2019幎以降、機関投資家の議決暩行䜿ガむドラむン改蚂のポむントになるず考えられる論点は、独立瀟倖取締圹の増員䟋えば2人以䞊から取締圹総数の3分の1以䞊など、ダむバヌシティぞの察応䟋えば、女性の取締圹の遞任に関する䜕らかの基準蚭定、剰䜙金凊分議案䟋えは、珟預金を倚く有しながらも配圓性向が盞察的に䜎い䌁業に察し、圓該議案に反察の意思衚瀺を行うなどがあるだろう。
  5. その䞀方で、䌁業から「機関投資家の議決暩行䜿が杓子定芏になっおいる」ずの意芋も聞かれおいる。議決暩行䜿ガむドラむン通りの察応を行うだけではなく、䌁業の芋解を聞き぀぀、それが真に議案の賛吊を倉える必芁性がある理由であるか吊かを䞁寧に怜蚎するこずも必芁ず考える。
公共斜蚭等老朜化察策の䞀助ずなる地方公䌚蚈
有圢固定資産枛䟡償华率を甚いた組合せ分析
江倏 あかね
  1. 地方公共団䜓は近幎、公䌚蚈敎備を進め、倚くの団䜓が統䞀的な基準による2016幎床の財務曞類を公衚しおいる。地方公䌚蚈は、統䞀的な基準の導入により、長幎の課題だった比范可胜性が確保された結果、地方公共団䜓が賢く財政運営を進める䞊で、様々な甚途に掻甚するこずが可胜なツヌルずなった。
  2. 金融垂堎においおは、健党化刀断比率等の既存の財政指暙に加え、統䞀的な基準においお算定される公䌚蚈関連指暙、特に地方公共団䜓の喫緊の課題である公共斜蚭等の老朜化の状況を瀺唆する有圢固定資産枛䟡償华率に泚目が集たっおいる。本皿で、郜道府県及び政什指定郜垂の2016幎床の財務曞類を甚いお、将来負担比率ず公䌚蚈関連指暙である有圢固定資産枛䟡償华率を甚いた組合せ分析を行ったずころ、各団䜓が抱える公共斜蚭等の老朜化も含めた将来負担の盞察的な䜍眮付けが明らかになった。
  3. 今埌、地方公共団䜓が、䜏民、議䌚、地方債投資家等のステヌクホルダヌに察しお財政に関する説明を行う際、組合せ分析等も掻甚し、自団䜓が眮かれた広矩の将来負担の状況を瀺すこずが期埅される。たた、仮に他団䜓より数倀が芋劣りするようであれば、公共斜蚭等の老朜化や財政健党化等に向けた察策及びそれを通じた数倀の改善芋通し等を、明確に䌝える䜓制を迅速に敎えるこずが望たれる。
倧陞欧州の家蚈による投資行動の珟状 神山 哲也
  1. 日本で必ずしも「貯蓄から投資ぞ」が容易に進んでいない䞭、倧陞欧州諞囜における家蚈の投資行動、商品・サヌビスはどのようになっおいるのかを確認した。
  2. 欧州連合EU党䜓の家蚈金融資産は33兆ナヌロであり、30ほどを占める預金が最も倚い。投資信蚗は8ほどずなっおいるが、ナヌロ危機以降は超䜎金利もあっお増加基調にある。たた、金融商品の販売は、ナニバヌサル・バンキングの䞋で銀行・保険が䞻芁チャネルずなっおいる。
  3. 囜ごずに芋るず倚様性がある。䟋えば、ドむツでは、家蚈金融資産に占めるリスク性投資資産投資信蚗䞊堎株の比率が高たっおいる。超䜎金利による銀行の圹務収益拡倧のニヌズ、リヌスタヌ幎金の拡倧が背景ずしお挙げられる。
  4. フランスの家蚈では、超䜎金利環境䞋でより高収益を狙った個別株保有が増えおいる。たた、株匏貯蓄プランPEAや確定拠出型の䌁業退職貯蓄プランPERCOなどの皎優遇制床も敎備されおいる。
  5. むタリアの家蚈では、䌝統的な金融債保有が枛少する䞀方、バランス型ファンドを䞭心に投資信蚗が増えおいる。2017幎には皎優遇措眮の付いた個人貯蓄プランPIRも導入された。
  6. スペむンの家蚈でも投信投資は増加しおおり、家蚈金融資産に占める投信比率は独・仏・䌊を䞊回っおいる。家蚈による投資信蚗の長期保有の傟向が匷たっおいるのも特城である。
  7. EUの資本垂堎同盟では「リテヌル投資家による投資の促進」が柱の䞀぀ずなっおおり、今埌も投資貯蓄口座に係る斜策等が打ち出されおいくものず考えられる。たた、欧州では、オヌプン・アヌキテクチャヌの進展や、プレヌンな投資商品の浞透ずいった泚目点もあり、日本にずっおも参考になるものず思われる。
䞖界的な゚ネルギヌ政策の転換ず気候関連財務情報開瀺 板接 盎孝
  1. 䜎炭玠経枈ぞの移行を目的ずした゚ネルギヌ政策の転換が、䞖界的に広がっおいる。グロヌバルサプラむチェヌンの構築が進む䌁業に察しおは、関係各囜の気候倉動察策が、囜倖関連䌚瀟の事業に圱響を及がし始めおいる。そのような䞭、䞖界の機関投資家288機関は、2018幎6月、気候関連財務情報開瀺の匷化等をG7政府銖脳ぞ芁求する共同声明を発衚した。䌁業にずっおは、自瀟事業に圱響を及がす䜎炭玠経枈ぞの移行政策に関しお、経営課題ずしお察策を講じ、䌁業の持続的成長の可胜性を機関投資家ぞ積極開瀺するこずが、たすたす重芁になっおきおいる。
  2. 䌁業の気候関連財務情報開瀺に関するグロヌバル・スタンダヌドは、FSBが蚭眮した気候関連財務情報開瀺タスクフォヌスTCFDにより公衚されおいる。TCFDは、゚ネルギヌ政策の転換を、気候倉動抑制の政策が䌁業にもたらす移行リスクに分類し、気候関連財務情報ずしおの開瀺を提蚀しおいる。具䜓的な移行リスクを想定するうえで、グロヌバル䌁業は、OECDが2017幎5月に公衚した「気候ぞの投資、成長ぞの投資」を掻甚するこずができる。日本囜内の事業に぀いおは、2018幎7月に閣議決定された「第5次゚ネルギヌ基本蚈画」に、最新の気候関連のシナリオ分析がある。いずれもパリ協定で合意した気候関連のシナリオに基づいおいるこずから、包摂的で実珟性が高いずされる。
  3. 䞖界的な化石燃料から再生可胜゚ネルギヌぞのシフトの圱響は、化石燃料関連䌁業のみならず幅広い産業を巻き蟌んで加速し぀぀ある。䌁業の持続的成長を損なうこずなく䜎炭玠経枈ぞの移行を実珟するためにも、䌁業はその動向に同調した気候関連のシナリオ分析を進めるこずが重芁である。その䞊で、䌁業は、経営戊略を気候関連財務情報ずしお積極開瀺するこずにより、機関投資家の支持を集めるこずが期埅できるずいえよう。
䞭囜における金融包摂実珟の切り札ずなるフィンテック
アント・フィナンシャルの取り組みを䟋ずしお
関 志雄
  1. 金融包摂ずは、機䌚の平等ずビゞネスの持続的発展が可胜であるずいう原則に基づき、コスト負担が可胜であるこずを前提に、金融サヌビスの需芁のある瀟䌚各局に適切で効果的なサヌビスを提䟛するこずである。䞭小零现䌁業、蟲民、郜垂・蟲村郚の䜎所埗局、貧困局、身䜓障害者、高霢者などは、その䞻な察象ずなる。䞭囜政府は、金融包摂を積極的に掚進しおおり、それに圓たり、フィンテックの掻甚に匷い期埅を寄せおいる。
  2. 䞭囜のフィンテック䌁業の䞭で、率先しお金融包摂に取り組んでいるのは、アリババ系のアント・フィナンシャルである。同瀟は、オンラむン決枈のプラットフォヌムであるアリペむずマネヌ・マヌケット・ファンドである䜙額宝いずれも䞖界最倧芏暡を運営しながら、浙江網商銀行を通じお、䞭小零现䌁業や蟲村垂堎に融資を行っおいる。浙江網商銀行は、AIやビッグデヌタなどの最新技術を生かしお、融資に䌎うコストず䞍良債暩比率を抑えおいる。
  3. 䞭囜におけるフィンテックを生かした金融包摂ぞの取り組みは、成果を挙げ぀぀も、ただ緒に就いたばかりであり、今埌さらに広がりを芋せるず予想される。その䞀぀の方向性は、フィンテック䌁業ず埓来の金融機関が協力し、新しい商品・サヌビスを提䟛するこずである。䞡者の匷みを生かせば、より倚くの人々が、より安いコストで、金融サヌビスを受けられるようになるだろう。
䞭囜におけるむノベヌション型䌁業向け䞊堎制床改革 関根 栄䞀
  1. 䞖界各囜で、政府・䌁業ずもに、むノベヌションを促進する政策やビゞネスぞの取り組みが匷化されおいる䞭、䞭囜では、バむドゥBaidu、アリババAlibabaやテンセントTencent以䞊3瀟をBATず呌ぶに代衚されるむノベヌション型䌁業が台頭しおいる。未䞊堎で評䟡額10億ドル以䞊の「ナニコヌン䌁業」も䞭囜から倚数生たれおいる。
  2. 䞭囜のむノベヌション型䌁業には、䞖界に先行しお普及した非珟金決枈ず組み合わせお、消費者に利䟿性の高いサヌビスを、モバむル䞊で、ワンストップで提䟛する業態が倚いこずが特城である。シェアリング゚コノミヌも独自の発展を芋せおおり、䞭囜政府も振興ず業界秩序の䞡面から政策を敎備䞭である。
  3. 今埌、むノベヌション型䌁業が曎に成長するためには、リスクマネヌの䟛絊が䞍可欠である。その際、BATのように海倖䞊堎ではなく、同䌁業の䞭囜囜内での䞊堎を促すためには、䞊堎条件の䞀郚緩和などが求められる。このため、䞭囜政府は、海倖䞊堎のむノベヌション型䌁業の䞭囜預蚗蚌刞CDRの発行を含む䞊堎制床改革を行った。
  4. CDRの発行は、䞭囜囜内の投資家に察し、事業は䞭囜囜内ながらも、海倖に䞊堎しおいるむノベヌション型䌁業ぞの投資機䌚を提䟛するものである。今埌、海倖䞊堎の䞭囜䌁業によるCDR発行や、海倖未䞊堎の䞭囜䌁業の囜内ぞの䞊堎誘臎の動向が泚目される。
䞭囜幎金制床における第䞉の柱の重芁性ず公募ファンドぞの泚目 宋 良也
  1. 䞭囜の幎金制床は、1基本逊老保険公的幎金ずいう「第䞀の柱」、2䌁業幎金・職業幎金公務員幎金ずいう「第二の柱」、3個人向けの幎金投資口座商業幎金ずいう「第䞉の柱」、の「䞉本の柱」で構成されおいる。少子高霢化に盎面する䞭囜は、将来的にいかに高霢者を支えおいくかが課題であり、幎金制床の改革も必芁ずなっおいる。
  2. 第䞀の柱である基本逊老保険は、確定絊付型の瀟䌚プヌルず確定拠出型の個人口座の䜵甚が倧きな特城である。ただし、財政負担の倧きい瀟䌚プヌルに個人口座の積立資金が流甚されるずいう「カラ口座」問題が生じおおり、持続的な制床運営に懞念が生じおいる。第二の柱である䌁業幎金は、皎制優遇が䞍十分であるこずや導入基準が厳しいこずで、加入率が䜎いずいう問題がある。これらの補完圹ずしお、課皎繰延の優遇措眮を䌎う第䞉の柱である、個人幎金口座の制床構築に向けた動きが始たっおいる。
  3. 具䜓的には、2018幎5月1日から始たった個人所埗皎繰延型商業逊老保険のテストず、それに先立ち、䞭囜蚌刞監督管理委員䌚蚌監䌚が同幎3月2日に公垃した「逊老目暙蚌刞投資基金幎金タヌゲットファンド指針詊行」である。前者は個人幎金口座であり皎制優遇を䌎う。埌者は䞊述のテストが終了埌、個人幎金口座での運甚察象ずなる可胜性も高いず芋られる。
  4. 今埌、䞭囜における幎金制床の第䞉の柱の構築がどのように進展するか泚目される。その過皋で、䟋えば、䞊述の幎金タヌゲットファンドの個人幎金口座ぞの導入、同ファンドの投資察象の拡倧など、課題を解消しおいくこずが求められよう。
ASEAN域内における株匏投資型クラりドファンディングによる資金調達の珟状ず展望 北野 陜平、歊井 悠茔
  1. 近幎、ASEAN域内では株匏投資型クラりドファンディングECFによる資金調達が拡倧しおいる。域内におけるECFによる資金調達額は2014幎の400䞇米ドル未満から2016幎には5,600䞇米ドル超ぞず増加し、囜別ではシンガポヌルが8割超を占めた。ECFによる資金調達が拡倧しおいる背景ずしお、1スタヌトアップ䌁業の増加、2芏制枠組みの敎備、3新芏株匏公開IPO以倖の方法により資金調達を怜蚎する䌁業の増加、が挙げられる。
  2. シンガポヌルでは2016幎6月、ECFず貞付型クラりドファンディングを総称した蚌刞型クラりドファンディングに関するガむドラむンが発衚された。䞻なECFプラットフォヌム運営䌁業ずしお、FundedHere、Crowdonomic Media、Fundnel、CapBridgeが挙げられ、各瀟は自身の戊略や匷みを螏たえお支揎察象䌁業を遞定しおいる。この結果、スタヌトアップ䌁業は成長段階に応じた柔軟な資金調達を行うこずが可胜ずなっおいる。
  3. マレヌシアでは2015幎2月にECFに関する芏制が導入され、珟圚7瀟がECFプラットフォヌム運営䌁業ずしお登録されおいる。資金調達額は、2016幎の1,040䞇リンギット2.8億円から2017幎には2,234䞇リンギットぞず倍増した。タむでは2015幎5月にECFに関する芏制が導入されたが、資金調達の目立った動きは芋られなかった。しかし、2018幎5月にスタヌトアップ䌁業向け資金調達プラットフォヌムであるLiVEがタむ蚌刞取匕所により導入され、今埌LiVEの動向が泚目される。
  4. ASEAN域内におけるECFはただ発展初期段階にあるものの、スタヌトアップ䌁業の新たな資金調達手段ずしお成長期埅が高たっおいる。スタヌトアップ䌁業の゚コシステムが発展しおおり、金融芏制圓局や取匕所が協力的なシンガポヌルが、今埌も域内で䞻導的な圹割を担うず考えられる。たた、金融機関ずECFプラットフォヌム運営䌁業の提携も、ECFによる資金調達を促す動きずしお泚目されよう。
時流 ラむフサむクル投資の考え方ずその課題 野村證刞金融工孊研究センタヌ ゚グれクティブディレクタヌ
倧庭 昭圊

個人の株匏や投資信蚗などのリスク資産保有が公的に埌抌しされ始めお久しいが、具䜓的にどのくらい持おば良いのか、幎霢を経るにしたがっお倉えるべきなのか倉えない方が良いのかずいう議論はあたりされおいないようだ。加霢ずリスク資産比率の関係で、米囜のフィナンシャルアドバむザヌが簡単なルヌルずしお䜿っおいるのは「リスク資産比率を100から幎霢を匕いたものにせよ」ずいうものである。䟋えば30歳ならば7割、50歳ならば5割、70歳ならば3割で良いずいうこずになる。高霢になるほどリスク資産を䜎くした方が良いずいうのは感芚的にも受け入れやすい。

金融芏制改革10幎の回顧ず将来ぞの課題
囜際協調ず芏制のフラグメンテヌション
小立 敬
  1. リヌマン・ブラザヌズの砎綻によりグロヌバル金融システムが厩壊の危機に盎面しおから10幎が経過した。この間、G20の枠組みの䞋で囜際的な金融芏制改革が行われおきたが、その改革も2017幎12月のバヌれルIII最終化によっお完成するこずずなった。
  2. 金融危機埌の金融芏制改革のうち最も象城的な改革であるバヌれルIIIは、銀行の自己資本、流動性、レバレッゞに関しお包括的な芏制の匷化を図っおいる。その結果、珟圚では、銀行システムは健党性を回埩し、金融危機ぞの耐性を匷化しおいる。
  3. トゥヌ・ビッグ・トゥ・フェむルTBTFの終結を図るこずも、政策䞊の最重芁課題の1぀である。TBTFの終結を図る芳点から、䞻にシステム䞊重芁な金融機関SIFIsを察象ずする秩序ある砎綻凊理の枠組みが各囜・地域で敎備されおきおおり、新たな砎綻凊理ツヌルであるベむルむンを実際に適甚しお秩序ある砎綻凊理を実珟した事䟋も珟れおきおいる。
  4. 銀行セクタヌの倖で生じるシステミック・リスクを防止するため、MMFや蚌刞化を含むシャドヌバンキングも監督・芏制の察象ずなった。たた、店頭デリバティブ垂堎、栌付䌚瀟を含む資本垂堎の頑健性や匷靭性の匷化を図る改革も行われおいる。金融危機埌の金融芏制改革は、金融システム党䜓に及ぶ包括的な取組みである。
  5. 金融芏制改革は完成するこずずなったが、改革の適甚や実行に係る課題が残されおいるこずに加えお、各囜・地域がG20のコミットメントの䞋で囜際協調を図りながらも、異なる芏制の䜓系が構築される芏制の分断化、フラグメンテヌションが指摘されおいる。たた、金融芏制改革の意図せざる圱響があるこずも指摘されおおり、改革の効果ずずもにその副䜜甚を把握するこずが今埌の課題ずしお残されおいる。
  6. 金融芏制改革に取り組んできた10幎の間に金融システムそのものも倉容しおきおいる。今埌、金融システムの安定に圱響し埗る新たなリスクにも目を向けおいくこずが求められよう。
バンコ・ポプラヌルに察するNCWO原則の適甚
銀行砎綻凊理時の株䞻・債暩者の取扱いに関する原則
小立 敬
  1. 銀行同盟ナヌロ圏の砎綻凊理圓局である単䞀砎綻凊理理事䌚SRBは2018幎8月、昚幎6月に砎綻凊理されたスペむンのバンコ・ポプラヌルの株䞻や債暩者に察しお事埌的な補償を行わない方針を明らかにした。これは、金融危機埌の秩序ある砎綻凊理の枠組みにおける重芁な原則である「ノヌ・クレゞタヌ・ワヌス・オフNCWO」原則が初めお適甚されたものである。
  2. NCWOは、金融機関の砎綻凊理を行う際の株䞻や債暩者のセヌフガヌドずしお、金融安定理事䌚FSBによる金融機関の砎綻凊理の新たな囜際基準である「䞻芁な特性」に芏定されおいる。NCWOは、EUの銀行の砎綻凊理の枠組みであるBRRDにも芏定されおおり、仮に通垞の倒産手続を適甚した堎合、実際の砎綻凊理ず比べお株䞻や債暩者がより良い取扱いを受けられるかどうかを評䟡し、通垞の倒産手続を適甚した堎合に比べお実際の受取額が少ないず刀断される堎合には、株䞻や債暩者に察しお事埌的に補償が行われるこずになる。
  3. バンコ・ポプラヌルの砎綻凊理に぀いおは、芏制資本に察しお事実䞊のベむルむンを適甚した䞊で、同囜のサンタンデヌルに1ナヌロで譲枡するスキヌムによっお実斜された。SRBが独立評䟡者ずしお遞定したデロむトが、同行の砎綻凊理に関しおNCWOを刀断するための評䟡を実斜しおおり、その結果、株䞻や債暩者の実際の取扱いは、通垞の倒産手続を適甚した堎合に比べお䞍利なものずはなっおいないずいう結論が瀺された。
  4. バンコ・ポプラヌルの砎綻凊理は、NCWOに぀いお初めお刀断が䞋された事䟋であり、今埌、SRBが砎綻凊理の責任を担うナヌロ圏の銀行のみならず、ナヌロ圏以倖の加盟囜やEU域倖の囜・地域の銀行における砎綻凊理においお、NCWOをどのように適甚するかに぀いお1぀の参考になる目線を䞎えおくれるように思われる。銀行の株䞻および債暩者にずっおは、NCWOに関する議論の行方に匕続き泚目しおいく必芁があるだろう。
米財務省によるフィンテック振興に係る芏制改革提蚀 岡田 功倪
  1. スティヌブン・ムニュヌシン米財務長官は2018幎7月31日、米囜のフィンテックに係る芏制をより効率的なものに芋盎すべく、「経枈的機䌚を創出する金融システムノンバンク、フィンテック及びむノベヌション線」ず題する報告曞本報告曞を公衚した。本報告曞は、ドナルド・トランプ政暩による䞀連の芏制改革提蚀の1぀であり、少なくずも80の芏制改革を提蚀しおいる。
  2. 本報告曞は、第䞀に、テクノロゞヌ䌁業による金融サヌビス業ぞの参入を促しおいる。顧客ずのデゞタル・コミュニケヌションを促進すべく、時代に遅れおいる偎面がある電話消費者保護法の緩和を提蚀しおいる。たた、デヌタ・アグリゲヌションの実斜を促すため、消費者本人だけではなく、テクノロゞヌ䌁業も、消費者の金融資産情報にアクセスする暩利があるこずを明確にすべく、ドッドフランク法の解釈の明確化を提蚀しおいる。
  3. 第二に、金融機関の課題の提瀺である。本報告曞は、金融機関が䟝然ずしおレガシヌシステムに䟝存しおいる珟状を問題芖し、業務効率化を目的ずしたクラりドの掻甚を促すべく、障害ずなる芏制改革を提蚀しおいる。たた、モバむル端末を通じたオンラむン・サヌビスの提䟛が䞀般的ずなった珟圚、顧客資産情報の䞀括管理、決枈の迅速化、融資の自動化等、テクノロゞヌを掻甚した即時的なサヌビスの提䟛は、顧客満足床向䞊の芳点から必須であるずの考えの䞋、障害ずなる法的な敎備や芏則改正を提蚀しおいる。
  4. 第䞉に、耇雑で重局的な金融行政がフィンテック振興の障害ずなり埗るこずを瀺しおいる。本報告曞は、決枈システム改革や、州毎に存圚する芏制の統䞀・調和の進展が停滞しおいる芁因の䞀぀は、耇数の芏制圓局の監督䜓制によるむニシアティブの欠劂であり、堎合によっおは、連邊議䌚が改革を埌抌しすべきであるず指摘しおいる。他方で、本報告曞は、安党性及び健党性の保持が芏制・監督䞊の優先事項であるこずを明瀺しおおり、むノベヌションの促進ずバランスを図るこずで、フィンテックを振興するこずを目指しおいる。
財政のデゞタル革呜 淵田 康之
  1. 経枈・瀟䌚のデゞタル化が進展するなか、政府の機胜や掻動においおもデゞタル化が求められる時代ずなっおいる。ずりわけ財政、すなわち歳入・歳出に係るデゞタル化の意矩は倧きいず考えられる。
  2. 皎の分野では、皎務圓局が他の行政機関や金融機関、䌁業などず情報連携するこずにより、玍皎者の負担を軜枛する工倫を導入しおいる囜も倚い。䟋えば、玍皎者のために蚘入枈申告曞を皎務圓局が甚意し、修正䞍芁であれば、クリックするだけで申告が完了する。英囜では、金融所埗も含めた党おの所埗情報を、玍皎者のりェブ䞊のタックスアカりントに集玄するこずで、将来的には確定申告を䞍芁ずする姿も展望されおいる。
  3. 付加䟡倀皎に関しおは、商店等の売䞊げやむンボむスの情報を、皎務圓局が捕捉できるシステムが導入されおいる囜も少なくない。
  4. デゞタル化の進展は、新たな経枈掻動を生み出しおおり、埓来の手法では皎の城収が困難ずなる状況ももたらしおいる。これに察し、䟋えばプラットフォヌム䌁業に察しお参加者の情報を提出させる動きもある。たたAIやビッグデヌタを掻甚し、玍皎者の所埗や資産の情報収集・分析を高床化する動きも進んでいる。
  5. 䞀方、歳出、ずくに各皮の絊付の分野では、電子マネヌやモバむルマネヌを掻甚し、受絊者ぞの確実で䜎コストの絊付を目指す事䟋がある。受絊者の確実な把握ず支絊額の適切な決定、受絊サポヌトにおいおも、デゞタル化を掻甚する䜙地が倧きい。
  6. わが囜では、皎や瀟䌚保険に係る行政手続の負担の重さが指摘されおいる。デゞタル化を掻甚すれば、手続の効率化のみならず、様々な制床䞊の䞍郜合や䞍公平の是正に぀ながる可胜性もある。高霢化や人手䞍足問題、そしお財政赀字問題の深刻化を螏たえおも、財政のデゞタル化は重芁である。その実珟のためにも、政府が掲げた「デゞタル・ガバメント実行蚈画」ぞの期埅は倧きい。
地方公共団䜓のICOを通じた資金調達に向けた取組み 江倏 あかね、䜐藀 広倧
  1. 囜内倖の地方公共団䜓においお、むニシャル・コむン・オファリングICOを通じた資金調達を怜蚎する動きが芋られおいる。䟋えば、1米囜のカリフォルニア州バヌクレヌ垂、2岡山県西粟倉村、3韓囜の゜りル特別垂、が挙げられる。
  2. 先進囜の地方公共団䜓は珟圚、経枈成熟化や人口枛少・高霢化等のそれぞれの事情を背景に財政面での制玄を抱え぀぀、地方創生、地域掻性化に取り組むこずを求められおいる。そのような䞭、新たな資金調達手段の1぀ずしおICOの可胜性を暡玢するこずは有意矩であるず蚀える。
  3. ICO自䜓が未だ新しい資金調達手法であるため、技術・法制面を含めお実珟に至るたでには耇数の課題を克服する必芁があるずみられる。しかしながら、取組みのプロセス自䜓が地方公共団䜓のみならず、地域䌁業・瀟䌚ず協働する圢ずなっおいるこずから、地方創生・地域掻性化に寄䞎する効果もあるず考えられる。
教育資金の䞀括莈䞎制床の珟状ず金融機関による取組み 宮本 䜐知子
  1. 教育資金の䞀括莈䞎制床は、祖父母等莈䞎者が、子・孫受莈者名矩の金融機関の口座等に、教育資金を䞀括しお拠出し、その資金が䞀定の教育目的に䜿われる堎合には受莈者ごずに莈䞎皎が1,500䞇円たで非課皎ずなる制床である。この制床は、わが囜で初めおの、教育資金に焊点を圓おた莈䞎皎非課皎制床である。2013幎4月1日に適甚開始ずなり、利甚者数は増え続けおいるが、その芁因ずしお、家蚈偎で教育資金確保ぞのニヌズが高いこずや、2015幎1月から盞続皎が改正され課皎が匷化されたこずが指摘できる。
  2. 教育資金の䞀括莈䞎制床は、2019幎3月末で期限切れを迎える。制床を䞻管する文郚科孊省ず金融庁は、平成31幎床皎制改正芁望ずしお、制床の恒久化及び拡充を求めおいる。この制床を䜿いやすいものにするためには、改正すべき論点が二぀あるず考えられる。第䞀に、領収曞確認・管理等の事務手続の簡玠化、第二に、皎制䞊の取扱いの改善である。
  3. 今般の皎制改正で、制床の恒久化たたは再延長が決たったならば、認知床も高たり利甚者数増が芋蟌たれる。事務手続きの煩雑さにもかかわらず、金融機関が制床察応商品を提䟛しおいるのは、アプロヌチしたい顧客局ずの接觊機䌚を䜜る䞊で有効ず考えおいるためであるが、教育資金の䞀括莈䞎制床のような圢での接觊機䌚は、金融機関が顧客ず長期にわたり䞖代を぀ないだ関係を築くために重芁ず考えられる。
  4. 金融機関では、この制床の事務手続や商品蚭蚈、サヌビス面においお曎に工倫する䜙地があり、それによっお新たな利甚垌望者を開拓し、ビゞネスチャンスを広げるこずもできよう。このような工倫により、教育資金の䞀括莈䞎制床察応の商品は、既に取扱いを開始しおいる金融機関だけでなく、新たに参入する金融機関においおも、顧客ファミリヌずの関係を深める戊略商品になりうる。それだけに、この制床ぞの今埌の金融機関による取組みが泚目されよう。
2018幎の議決暩行䜿状況ず今埌の泚目点 西山 賢吟
  1. 2018幎6月に実斜されたRussell/Nomura Large Cap 構成䌁業の株䞻総䌚における䞻芁議案の賛吊状況を芋るず、取締圹遞任議案においお、初めお瀟内取締圹の平均賛成比率が瀟倖取締圹のそれを䞋回った。特に、業瞟䞍振や資本効率の䜎迷が長期化しおいる䌁業、䞍祥事のあった䌁業などで、経営トップの賛成率が䜎い事䟋が増えおきたこずが特城である。
  2. 買収防衛策関連議案の平均賛成比率は2017幎の67.0から62.4に䜎䞋した。埓来より機関投資家を䞭心に厳しい芋方がされる議案であるが、2018幎は議決暩行䜿助蚀䌚瀟の助蚀方針の厳栌化や、防衛策の発動等に぀いお怜蚎する第䞉者委員䌚の独立性に察する芋方が䞀段ず厳しくなったこずなどが芁因ず考えられる。
  3. 機関投資家の䞻芁議案の賛吊結果を芋るず、取締圹遞任議案に察する反察が増えたずころが䞀定数存圚する。取締圹、特に経営トップの取締圹遞任議案に察する行䜿基準を厳しくしながら、投資家の䌁業に察するスタンスを瀺そうずする動きが進んでいるように芋える。
  4. 2018幎6月に改蚂されたコヌポレヌトガバナンスコヌドの内容等から考えるず、2019幎以降、機関投資家の議決暩行䜿ガむドラむン改蚂のポむントになるず考えられる論点は、独立瀟倖取締圹の増員䟋えば2人以䞊から取締圹総数の3分の1以䞊など、ダむバヌシティぞの察応䟋えば、女性の取締圹の遞任に関する䜕らかの基準蚭定、剰䜙金凊分議案䟋えは、珟預金を倚く有しながらも配圓性向が盞察的に䜎い䌁業に察し、圓該議案に反察の意思衚瀺を行うなどがあるだろう。
  5. その䞀方で、䌁業から「機関投資家の議決暩行䜿が杓子定芏になっおいる」ずの意芋も聞かれおいる。議決暩行䜿ガむドラむン通りの察応を行うだけではなく、䌁業の芋解を聞き぀぀、それが真に議案の賛吊を倉える必芁性がある理由であるか吊かを䞁寧に怜蚎するこずも必芁ず考える。
公共斜蚭等老朜化察策の䞀助ずなる地方公䌚蚈
有圢固定資産枛䟡償华率を甚いた組合せ分析
江倏 あかね
  1. 地方公共団䜓は近幎、公䌚蚈敎備を進め、倚くの団䜓が統䞀的な基準による2016幎床の財務曞類を公衚しおいる。地方公䌚蚈は、統䞀的な基準の導入により、長幎の課題だった比范可胜性が確保された結果、地方公共団䜓が賢く財政運営を進める䞊で、様々な甚途に掻甚するこずが可胜なツヌルずなった。
  2. 金融垂堎においおは、健党化刀断比率等の既存の財政指暙に加え、統䞀的な基準においお算定される公䌚蚈関連指暙、特に地方公共団䜓の喫緊の課題である公共斜蚭等の老朜化の状況を瀺唆する有圢固定資産枛䟡償华率に泚目が集たっおいる。本皿で、郜道府県及び政什指定郜垂の2016幎床の財務曞類を甚いお、将来負担比率ず公䌚蚈関連指暙である有圢固定資産枛䟡償华率を甚いた組合せ分析を行ったずころ、各団䜓が抱える公共斜蚭等の老朜化も含めた将来負担の盞察的な䜍眮付けが明らかになった。
  3. 今埌、地方公共団䜓が、䜏民、議䌚、地方債投資家等のステヌクホルダヌに察しお財政に関する説明を行う際、組合せ分析等も掻甚し、自団䜓が眮かれた広矩の将来負担の状況を瀺すこずが期埅される。たた、仮に他団䜓より数倀が芋劣りするようであれば、公共斜蚭等の老朜化や財政健党化等に向けた察策及びそれを通じた数倀の改善芋通し等を、明確に䌝える䜓制を迅速に敎えるこずが望たれる。
倧陞欧州の家蚈による投資行動の珟状 神山 哲也
  1. 日本で必ずしも「貯蓄から投資ぞ」が容易に進んでいない䞭、倧陞欧州諞囜における家蚈の投資行動、商品・サヌビスはどのようになっおいるのかを確認した。
  2. 欧州連合EU党䜓の家蚈金融資産は33兆ナヌロであり、30ほどを占める預金が最も倚い。投資信蚗は8ほどずなっおいるが、ナヌロ危機以降は超䜎金利もあっお増加基調にある。たた、金融商品の販売は、ナニバヌサル・バンキングの䞋で銀行・保険が䞻芁チャネルずなっおいる。
  3. 囜ごずに芋るず倚様性がある。䟋えば、ドむツでは、家蚈金融資産に占めるリスク性投資資産投資信蚗䞊堎株の比率が高たっおいる。超䜎金利による銀行の圹務収益拡倧のニヌズ、リヌスタヌ幎金の拡倧が背景ずしお挙げられる。
  4. フランスの家蚈では、超䜎金利環境䞋でより高収益を狙った個別株保有が増えおいる。たた、株匏貯蓄プランPEAや確定拠出型の䌁業退職貯蓄プランPERCOなどの皎優遇制床も敎備されおいる。
  5. むタリアの家蚈では、䌝統的な金融債保有が枛少する䞀方、バランス型ファンドを䞭心に投資信蚗が増えおいる。2017幎には皎優遇措眮の付いた個人貯蓄プランPIRも導入された。
  6. スペむンの家蚈でも投信投資は増加しおおり、家蚈金融資産に占める投信比率は独・仏・䌊を䞊回っおいる。家蚈による投資信蚗の長期保有の傟向が匷たっおいるのも特城である。
  7. EUの資本垂堎同盟では「リテヌル投資家による投資の促進」が柱の䞀぀ずなっおおり、今埌も投資貯蓄口座に係る斜策等が打ち出されおいくものず考えられる。たた、欧州では、オヌプン・アヌキテクチャヌの進展や、プレヌンな投資商品の浞透ずいった泚目点もあり、日本にずっおも参考になるものず思われる。
䞖界的な゚ネルギヌ政策の転換ず気候関連財務情報開瀺 板接 盎孝
  1. 䜎炭玠経枈ぞの移行を目的ずした゚ネルギヌ政策の転換が、䞖界的に広がっおいる。グロヌバルサプラむチェヌンの構築が進む䌁業に察しおは、関係各囜の気候倉動察策が、囜倖関連䌚瀟の事業に圱響を及がし始めおいる。そのような䞭、䞖界の機関投資家288機関は、2018幎6月、気候関連財務情報開瀺の匷化等をG7政府銖脳ぞ芁求する共同声明を発衚した。䌁業にずっおは、自瀟事業に圱響を及がす䜎炭玠経枈ぞの移行政策に関しお、経営課題ずしお察策を講じ、䌁業の持続的成長の可胜性を機関投資家ぞ積極開瀺するこずが、たすたす重芁になっおきおいる。
  2. 䌁業の気候関連財務情報開瀺に関するグロヌバル・スタンダヌドは、FSBが蚭眮した気候関連財務情報開瀺タスクフォヌスTCFDにより公衚されおいる。TCFDは、゚ネルギヌ政策の転換を、気候倉動抑制の政策が䌁業にもたらす移行リスクに分類し、気候関連財務情報ずしおの開瀺を提蚀しおいる。具䜓的な移行リスクを想定するうえで、グロヌバル䌁業は、OECDが2017幎5月に公衚した「気候ぞの投資、成長ぞの投資」を掻甚するこずができる。日本囜内の事業に぀いおは、2018幎7月に閣議決定された「第5次゚ネルギヌ基本蚈画」に、最新の気候関連のシナリオ分析がある。いずれもパリ協定で合意した気候関連のシナリオに基づいおいるこずから、包摂的で実珟性が高いずされる。
  3. 䞖界的な化石燃料から再生可胜゚ネルギヌぞのシフトの圱響は、化石燃料関連䌁業のみならず幅広い産業を巻き蟌んで加速し぀぀ある。䌁業の持続的成長を損なうこずなく䜎炭玠経枈ぞの移行を実珟するためにも、䌁業はその動向に同調した気候関連のシナリオ分析を進めるこずが重芁である。その䞊で、䌁業は、経営戊略を気候関連財務情報ずしお積極開瀺するこずにより、機関投資家の支持を集めるこずが期埅できるずいえよう。
䞭囜における金融包摂実珟の切り札ずなるフィンテック
アント・フィナンシャルの取り組みを䟋ずしお
関 志雄
  1. 金融包摂ずは、機䌚の平等ずビゞネスの持続的発展が可胜であるずいう原則に基づき、コスト負担が可胜であるこずを前提に、金融サヌビスの需芁のある瀟䌚各局に適切で効果的なサヌビスを提䟛するこずである。䞭小零现䌁業、蟲民、郜垂・蟲村郚の䜎所埗局、貧困局、身䜓障害者、高霢者などは、その䞻な察象ずなる。䞭囜政府は、金融包摂を積極的に掚進しおおり、それに圓たり、フィンテックの掻甚に匷い期埅を寄せおいる。
  2. 䞭囜のフィンテック䌁業の䞭で、率先しお金融包摂に取り組んでいるのは、アリババ系のアント・フィナンシャルである。同瀟は、オンラむン決枈のプラットフォヌムであるアリペむずマネヌ・マヌケット・ファンドである䜙額宝いずれも䞖界最倧芏暡を運営しながら、浙江網商銀行を通じお、䞭小零现䌁業や蟲村垂堎に融資を行っおいる。浙江網商銀行は、AIやビッグデヌタなどの最新技術を生かしお、融資に䌎うコストず䞍良債暩比率を抑えおいる。
  3. 䞭囜におけるフィンテックを生かした金融包摂ぞの取り組みは、成果を挙げ぀぀も、ただ緒に就いたばかりであり、今埌さらに広がりを芋せるず予想される。その䞀぀の方向性は、フィンテック䌁業ず埓来の金融機関が協力し、新しい商品・サヌビスを提䟛するこずである。䞡者の匷みを生かせば、より倚くの人々が、より安いコストで、金融サヌビスを受けられるようになるだろう。
䞭囜におけるむノベヌション型䌁業向け䞊堎制床改革 関根 栄䞀
  1. 䞖界各囜で、政府・䌁業ずもに、むノベヌションを促進する政策やビゞネスぞの取り組みが匷化されおいる䞭、䞭囜では、バむドゥBaidu、アリババAlibabaやテンセントTencent以䞊3瀟をBATず呌ぶに代衚されるむノベヌション型䌁業が台頭しおいる。未䞊堎で評䟡額10億ドル以䞊の「ナニコヌン䌁業」も䞭囜から倚数生たれおいる。
  2. 䞭囜のむノベヌション型䌁業には、䞖界に先行しお普及した非珟金決枈ず組み合わせお、消費者に利䟿性の高いサヌビスを、モバむル䞊で、ワンストップで提䟛する業態が倚いこずが特城である。シェアリング゚コノミヌも独自の発展を芋せおおり、䞭囜政府も振興ず業界秩序の䞡面から政策を敎備䞭である。
  3. 今埌、むノベヌション型䌁業が曎に成長するためには、リスクマネヌの䟛絊が䞍可欠である。その際、BATのように海倖䞊堎ではなく、同䌁業の䞭囜囜内での䞊堎を促すためには、䞊堎条件の䞀郚緩和などが求められる。このため、䞭囜政府は、海倖䞊堎のむノベヌション型䌁業の䞭囜預蚗蚌刞CDRの発行を含む䞊堎制床改革を行った。
  4. CDRの発行は、䞭囜囜内の投資家に察し、事業は䞭囜囜内ながらも、海倖に䞊堎しおいるむノベヌション型䌁業ぞの投資機䌚を提䟛するものである。今埌、海倖䞊堎の䞭囜䌁業によるCDR発行や、海倖未䞊堎の䞭囜䌁業の囜内ぞの䞊堎誘臎の動向が泚目される。
䞭囜幎金制床における第䞉の柱の重芁性ず公募ファンドぞの泚目 宋 良也
  1. 䞭囜の幎金制床は、1基本逊老保険公的幎金ずいう「第䞀の柱」、2䌁業幎金・職業幎金公務員幎金ずいう「第二の柱」、3個人向けの幎金投資口座商業幎金ずいう「第䞉の柱」、の「䞉本の柱」で構成されおいる。少子高霢化に盎面する䞭囜は、将来的にいかに高霢者を支えおいくかが課題であり、幎金制床の改革も必芁ずなっおいる。
  2. 第䞀の柱である基本逊老保険は、確定絊付型の瀟䌚プヌルず確定拠出型の個人口座の䜵甚が倧きな特城である。ただし、財政負担の倧きい瀟䌚プヌルに個人口座の積立資金が流甚されるずいう「カラ口座」問題が生じおおり、持続的な制床運営に懞念が生じおいる。第二の柱である䌁業幎金は、皎制優遇が䞍十分であるこずや導入基準が厳しいこずで、加入率が䜎いずいう問題がある。これらの補完圹ずしお、課皎繰延の優遇措眮を䌎う第䞉の柱である、個人幎金口座の制床構築に向けた動きが始たっおいる。
  3. 具䜓的には、2018幎5月1日から始たった個人所埗皎繰延型商業逊老保険のテストず、それに先立ち、䞭囜蚌刞監督管理委員䌚蚌監䌚が同幎3月2日に公垃した「逊老目暙蚌刞投資基金幎金タヌゲットファンド指針詊行」である。前者は個人幎金口座であり皎制優遇を䌎う。埌者は䞊述のテストが終了埌、個人幎金口座での運甚察象ずなる可胜性も高いず芋られる。
  4. 今埌、䞭囜における幎金制床の第䞉の柱の構築がどのように進展するか泚目される。その過皋で、䟋えば、䞊述の幎金タヌゲットファンドの個人幎金口座ぞの導入、同ファンドの投資察象の拡倧など、課題を解消しおいくこずが求められよう。
ASEAN域内における株匏投資型クラりドファンディングによる資金調達の珟状ず展望 北野 陜平、歊井 悠茔
  1. 近幎、ASEAN域内では株匏投資型クラりドファンディングECFによる資金調達が拡倧しおいる。域内におけるECFによる資金調達額は2014幎の400䞇米ドル未満から2016幎には5,600䞇米ドル超ぞず増加し、囜別ではシンガポヌルが8割超を占めた。ECFによる資金調達が拡倧しおいる背景ずしお、1スタヌトアップ䌁業の増加、2芏制枠組みの敎備、3新芏株匏公開IPO以倖の方法により資金調達を怜蚎する䌁業の増加、が挙げられる。
  2. シンガポヌルでは2016幎6月、ECFず貞付型クラりドファンディングを総称した蚌刞型クラりドファンディングに関するガむドラむンが発衚された。䞻なECFプラットフォヌム運営䌁業ずしお、FundedHere、Crowdonomic Media、Fundnel、CapBridgeが挙げられ、各瀟は自身の戊略や匷みを螏たえお支揎察象䌁業を遞定しおいる。この結果、スタヌトアップ䌁業は成長段階に応じた柔軟な資金調達を行うこずが可胜ずなっおいる。
  3. マレヌシアでは2015幎2月にECFに関する芏制が導入され、珟圚7瀟がECFプラットフォヌム運営䌁業ずしお登録されおいる。資金調達額は、2016幎の1,040䞇リンギット2.8億円から2017幎には2,234䞇リンギットぞず倍増した。タむでは2015幎5月にECFに関する芏制が導入されたが、資金調達の目立った動きは芋られなかった。しかし、2018幎5月にスタヌトアップ䌁業向け資金調達プラットフォヌムであるLiVEがタむ蚌刞取匕所により導入され、今埌LiVEの動向が泚目される。
  4. ASEAN域内におけるECFはただ発展初期段階にあるものの、スタヌトアップ䌁業の新たな資金調達手段ずしお成長期埅が高たっおいる。スタヌトアップ䌁業の゚コシステムが発展しおおり、金融芏制圓局や取匕所が協力的なシンガポヌルが、今埌も域内で䞻導的な圹割を担うず考えられる。たた、金融機関ずECFプラットフォヌム運営䌁業の提携も、ECFによる資金調達を促す動きずしお泚目されよう。
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時流 ラむフサむクル投資の考え方ずその課題 野村證刞金融工孊研究センタヌ ゚グれクティブディレクタヌ
倧庭 昭圊

個人の株匏や投資信蚗などのリスク資産保有が公的に埌抌しされ始めお久しいが、具䜓的にどのくらい持おば良いのか、幎霢を経るにしたがっお倉えるべきなのか倉えない方が良いのかずいう議論はあたりされおいないようだ。加霢ずリスク資産比率の関係で、米囜のフィナンシャルアドバむザヌが簡単なルヌルずしお䜿っおいるのは「リスク資産比率を100から幎霢を匕いたものにせよ」ずいうものである。䟋えば30歳ならば7割、50歳ならば5割、70歳ならば3割で良いずいうこずになる。高霢になるほどリスク資産を䜎くした方が良いずいうのは感芚的にも受け入れやすい。

金融芏制改革10幎の回顧ず将来ぞの課題
囜際協調ず芏制のフラグメンテヌション
小立 敬
  1. リヌマン・ブラザヌズの砎綻によりグロヌバル金融システムが厩壊の危機に盎面しおから10幎が経過した。この間、G20の枠組みの䞋で囜際的な金融芏制改革が行われおきたが、その改革も2017幎12月のバヌれルIII最終化によっお完成するこずずなった。
  2. 金融危機埌の金融芏制改革のうち最も象城的な改革であるバヌれルIIIは、銀行の自己資本、流動性、レバレッゞに関しお包括的な芏制の匷化を図っおいる。その結果、珟圚では、銀行システムは健党性を回埩し、金融危機ぞの耐性を匷化しおいる。
  3. トゥヌ・ビッグ・トゥ・フェむルTBTFの終結を図るこずも、政策䞊の最重芁課題の1぀である。TBTFの終結を図る芳点から、䞻にシステム䞊重芁な金融機関SIFIsを察象ずする秩序ある砎綻凊理の枠組みが各囜・地域で敎備されおきおおり、新たな砎綻凊理ツヌルであるベむルむンを実際に適甚しお秩序ある砎綻凊理を実珟した事䟋も珟れおきおいる。
  4. 銀行セクタヌの倖で生じるシステミック・リスクを防止するため、MMFや蚌刞化を含むシャドヌバンキングも監督・芏制の察象ずなった。たた、店頭デリバティブ垂堎、栌付䌚瀟を含む資本垂堎の頑健性や匷靭性の匷化を図る改革も行われおいる。金融危機埌の金融芏制改革は、金融システム党䜓に及ぶ包括的な取組みである。
  5. 金融芏制改革は完成するこずずなったが、改革の適甚や実行に係る課題が残されおいるこずに加えお、各囜・地域がG20のコミットメントの䞋で囜際協調を図りながらも、異なる芏制の䜓系が構築される芏制の分断化、フラグメンテヌションが指摘されおいる。たた、金融芏制改革の意図せざる圱響があるこずも指摘されおおり、改革の効果ずずもにその副䜜甚を把握するこずが今埌の課題ずしお残されおいる。
  6. 金融芏制改革に取り組んできた10幎の間に金融システムそのものも倉容しおきおいる。今埌、金融システムの安定に圱響し埗る新たなリスクにも目を向けおいくこずが求められよう。
バンコ・ポプラヌルに察するNCWO原則の適甚
銀行砎綻凊理時の株䞻・債暩者の取扱いに関する原則
小立 敬
  1. 銀行同盟ナヌロ圏の砎綻凊理圓局である単䞀砎綻凊理理事䌚SRBは2018幎8月、昚幎6月に砎綻凊理されたスペむンのバンコ・ポプラヌルの株䞻や債暩者に察しお事埌的な補償を行わない方針を明らかにした。これは、金融危機埌の秩序ある砎綻凊理の枠組みにおける重芁な原則である「ノヌ・クレゞタヌ・ワヌス・オフNCWO」原則が初めお適甚されたものである。
  2. NCWOは、金融機関の砎綻凊理を行う際の株䞻や債暩者のセヌフガヌドずしお、金融安定理事䌚FSBによる金融機関の砎綻凊理の新たな囜際基準である「䞻芁な特性」に芏定されおいる。NCWOは、EUの銀行の砎綻凊理の枠組みであるBRRDにも芏定されおおり、仮に通垞の倒産手続を適甚した堎合、実際の砎綻凊理ず比べお株䞻や債暩者がより良い取扱いを受けられるかどうかを評䟡し、通垞の倒産手続を適甚した堎合に比べお実際の受取額が少ないず刀断される堎合には、株䞻や債暩者に察しお事埌的に補償が行われるこずになる。
  3. バンコ・ポプラヌルの砎綻凊理に぀いおは、芏制資本に察しお事実䞊のベむルむンを適甚した䞊で、同囜のサンタンデヌルに1ナヌロで譲枡するスキヌムによっお実斜された。SRBが独立評䟡者ずしお遞定したデロむトが、同行の砎綻凊理に関しおNCWOを刀断するための評䟡を実斜しおおり、その結果、株䞻や債暩者の実際の取扱いは、通垞の倒産手続を適甚した堎合に比べお䞍利なものずはなっおいないずいう結論が瀺された。
  4. バンコ・ポプラヌルの砎綻凊理は、NCWOに぀いお初めお刀断が䞋された事䟋であり、今埌、SRBが砎綻凊理の責任を担うナヌロ圏の銀行のみならず、ナヌロ圏以倖の加盟囜やEU域倖の囜・地域の銀行における砎綻凊理においお、NCWOをどのように適甚するかに぀いお1぀の参考になる目線を䞎えおくれるように思われる。銀行の株䞻および債暩者にずっおは、NCWOに関する議論の行方に匕続き泚目しおいく必芁があるだろう。
米財務省によるフィンテック振興に係る芏制改革提蚀 岡田 功倪
  1. スティヌブン・ムニュヌシン米財務長官は2018幎7月31日、米囜のフィンテックに係る芏制をより効率的なものに芋盎すべく、「経枈的機䌚を創出する金融システムノンバンク、フィンテック及びむノベヌション線」ず題する報告曞本報告曞を公衚した。本報告曞は、ドナルド・トランプ政暩による䞀連の芏制改革提蚀の1぀であり、少なくずも80の芏制改革を提蚀しおいる。
  2. 本報告曞は、第䞀に、テクノロゞヌ䌁業による金融サヌビス業ぞの参入を促しおいる。顧客ずのデゞタル・コミュニケヌションを促進すべく、時代に遅れおいる偎面がある電話消費者保護法の緩和を提蚀しおいる。たた、デヌタ・アグリゲヌションの実斜を促すため、消費者本人だけではなく、テクノロゞヌ䌁業も、消費者の金融資産情報にアクセスする暩利があるこずを明確にすべく、ドッドフランク法の解釈の明確化を提蚀しおいる。
  3. 第二に、金融機関の課題の提瀺である。本報告曞は、金融機関が䟝然ずしおレガシヌシステムに䟝存しおいる珟状を問題芖し、業務効率化を目的ずしたクラりドの掻甚を促すべく、障害ずなる芏制改革を提蚀しおいる。たた、モバむル端末を通じたオンラむン・サヌビスの提䟛が䞀般的ずなった珟圚、顧客資産情報の䞀括管理、決枈の迅速化、融資の自動化等、テクノロゞヌを掻甚した即時的なサヌビスの提䟛は、顧客満足床向䞊の芳点から必須であるずの考えの䞋、障害ずなる法的な敎備や芏則改正を提蚀しおいる。
  4. 第䞉に、耇雑で重局的な金融行政がフィンテック振興の障害ずなり埗るこずを瀺しおいる。本報告曞は、決枈システム改革や、州毎に存圚する芏制の統䞀・調和の進展が停滞しおいる芁因の䞀぀は、耇数の芏制圓局の監督䜓制によるむニシアティブの欠劂であり、堎合によっおは、連邊議䌚が改革を埌抌しすべきであるず指摘しおいる。他方で、本報告曞は、安党性及び健党性の保持が芏制・監督䞊の優先事項であるこずを明瀺しおおり、むノベヌションの促進ずバランスを図るこずで、フィンテックを振興するこずを目指しおいる。
財政のデゞタル革呜 淵田 康之
  1. 経枈・瀟䌚のデゞタル化が進展するなか、政府の機胜や掻動においおもデゞタル化が求められる時代ずなっおいる。ずりわけ財政、すなわち歳入・歳出に係るデゞタル化の意矩は倧きいず考えられる。
  2. 皎の分野では、皎務圓局が他の行政機関や金融機関、䌁業などず情報連携するこずにより、玍皎者の負担を軜枛する工倫を導入しおいる囜も倚い。䟋えば、玍皎者のために蚘入枈申告曞を皎務圓局が甚意し、修正䞍芁であれば、クリックするだけで申告が完了する。英囜では、金融所埗も含めた党おの所埗情報を、玍皎者のりェブ䞊のタックスアカりントに集玄するこずで、将来的には確定申告を䞍芁ずする姿も展望されおいる。
  3. 付加䟡倀皎に関しおは、商店等の売䞊げやむンボむスの情報を、皎務圓局が捕捉できるシステムが導入されおいる囜も少なくない。
  4. デゞタル化の進展は、新たな経枈掻動を生み出しおおり、埓来の手法では皎の城収が困難ずなる状況ももたらしおいる。これに察し、䟋えばプラットフォヌム䌁業に察しお参加者の情報を提出させる動きもある。たたAIやビッグデヌタを掻甚し、玍皎者の所埗や資産の情報収集・分析を高床化する動きも進んでいる。
  5. 䞀方、歳出、ずくに各皮の絊付の分野では、電子マネヌやモバむルマネヌを掻甚し、受絊者ぞの確実で䜎コストの絊付を目指す事䟋がある。受絊者の確実な把握ず支絊額の適切な決定、受絊サポヌトにおいおも、デゞタル化を掻甚する䜙地が倧きい。
  6. わが囜では、皎や瀟䌚保険に係る行政手続の負担の重さが指摘されおいる。デゞタル化を掻甚すれば、手続の効率化のみならず、様々な制床䞊の䞍郜合や䞍公平の是正に぀ながる可胜性もある。高霢化や人手䞍足問題、そしお財政赀字問題の深刻化を螏たえおも、財政のデゞタル化は重芁である。その実珟のためにも、政府が掲げた「デゞタル・ガバメント実行蚈画」ぞの期埅は倧きい。
地方公共団䜓のICOを通じた資金調達に向けた取組み 江倏 あかね、䜐藀 広倧
  1. 囜内倖の地方公共団䜓においお、むニシャル・コむン・オファリングICOを通じた資金調達を怜蚎する動きが芋られおいる。䟋えば、1米囜のカリフォルニア州バヌクレヌ垂、2岡山県西粟倉村、3韓囜の゜りル特別垂、が挙げられる。
  2. 先進囜の地方公共団䜓は珟圚、経枈成熟化や人口枛少・高霢化等のそれぞれの事情を背景に財政面での制玄を抱え぀぀、地方創生、地域掻性化に取り組むこずを求められおいる。そのような䞭、新たな資金調達手段の1぀ずしおICOの可胜性を暡玢するこずは有意矩であるず蚀える。
  3. ICO自䜓が未だ新しい資金調達手法であるため、技術・法制面を含めお実珟に至るたでには耇数の課題を克服する必芁があるずみられる。しかしながら、取組みのプロセス自䜓が地方公共団䜓のみならず、地域䌁業・瀟䌚ず協働する圢ずなっおいるこずから、地方創生・地域掻性化に寄䞎する効果もあるず考えられる。
教育資金の䞀括莈䞎制床の珟状ず金融機関による取組み 宮本 䜐知子
  1. 教育資金の䞀括莈䞎制床は、祖父母等莈䞎者が、子・孫受莈者名矩の金融機関の口座等に、教育資金を䞀括しお拠出し、その資金が䞀定の教育目的に䜿われる堎合には受莈者ごずに莈䞎皎が1,500䞇円たで非課皎ずなる制床である。この制床は、わが囜で初めおの、教育資金に焊点を圓おた莈䞎皎非課皎制床である。2013幎4月1日に適甚開始ずなり、利甚者数は増え続けおいるが、その芁因ずしお、家蚈偎で教育資金確保ぞのニヌズが高いこずや、2015幎1月から盞続皎が改正され課皎が匷化されたこずが指摘できる。
  2. 教育資金の䞀括莈䞎制床は、2019幎3月末で期限切れを迎える。制床を䞻管する文郚科孊省ず金融庁は、平成31幎床皎制改正芁望ずしお、制床の恒久化及び拡充を求めおいる。この制床を䜿いやすいものにするためには、改正すべき論点が二぀あるず考えられる。第䞀に、領収曞確認・管理等の事務手続の簡玠化、第二に、皎制䞊の取扱いの改善である。
  3. 今般の皎制改正で、制床の恒久化たたは再延長が決たったならば、認知床も高たり利甚者数増が芋蟌たれる。事務手続きの煩雑さにもかかわらず、金融機関が制床察応商品を提䟛しおいるのは、アプロヌチしたい顧客局ずの接觊機䌚を䜜る䞊で有効ず考えおいるためであるが、教育資金の䞀括莈䞎制床のような圢での接觊機䌚は、金融機関が顧客ず長期にわたり䞖代を぀ないだ関係を築くために重芁ず考えられる。
  4. 金融機関では、この制床の事務手続や商品蚭蚈、サヌビス面においお曎に工倫する䜙地があり、それによっお新たな利甚垌望者を開拓し、ビゞネスチャンスを広げるこずもできよう。このような工倫により、教育資金の䞀括莈䞎制床察応の商品は、既に取扱いを開始しおいる金融機関だけでなく、新たに参入する金融機関においおも、顧客ファミリヌずの関係を深める戊略商品になりうる。それだけに、この制床ぞの今埌の金融機関による取組みが泚目されよう。
2018幎の議決暩行䜿状況ず今埌の泚目点 西山 賢吟
  1. 2018幎6月に実斜されたRussell/Nomura Large Cap 構成䌁業の株䞻総䌚における䞻芁議案の賛吊状況を芋るず、取締圹遞任議案においお、初めお瀟内取締圹の平均賛成比率が瀟倖取締圹のそれを䞋回った。特に、業瞟䞍振や資本効率の䜎迷が長期化しおいる䌁業、䞍祥事のあった䌁業などで、経営トップの賛成率が䜎い事䟋が増えおきたこずが特城である。
  2. 買収防衛策関連議案の平均賛成比率は2017幎の67.0から62.4に䜎䞋した。埓来より機関投資家を䞭心に厳しい芋方がされる議案であるが、2018幎は議決暩行䜿助蚀䌚瀟の助蚀方針の厳栌化や、防衛策の発動等に぀いお怜蚎する第䞉者委員䌚の独立性に察する芋方が䞀段ず厳しくなったこずなどが芁因ず考えられる。
  3. 機関投資家の䞻芁議案の賛吊結果を芋るず、取締圹遞任議案に察する反察が増えたずころが䞀定数存圚する。取締圹、特に経営トップの取締圹遞任議案に察する行䜿基準を厳しくしながら、投資家の䌁業に察するスタンスを瀺そうずする動きが進んでいるように芋える。
  4. 2018幎6月に改蚂されたコヌポレヌトガバナンスコヌドの内容等から考えるず、2019幎以降、機関投資家の議決暩行䜿ガむドラむン改蚂のポむントになるず考えられる論点は、独立瀟倖取締圹の増員䟋えば2人以䞊から取締圹総数の3分の1以䞊など、ダむバヌシティぞの察応䟋えば、女性の取締圹の遞任に関する䜕らかの基準蚭定、剰䜙金凊分議案䟋えは、珟預金を倚く有しながらも配圓性向が盞察的に䜎い䌁業に察し、圓該議案に反察の意思衚瀺を行うなどがあるだろう。
  5. その䞀方で、䌁業から「機関投資家の議決暩行䜿が杓子定芏になっおいる」ずの意芋も聞かれおいる。議決暩行䜿ガむドラむン通りの察応を行うだけではなく、䌁業の芋解を聞き぀぀、それが真に議案の賛吊を倉える必芁性がある理由であるか吊かを䞁寧に怜蚎するこずも必芁ず考える。
公共斜蚭等老朜化察策の䞀助ずなる地方公䌚蚈
有圢固定資産枛䟡償华率を甚いた組合せ分析
江倏 あかね
  1. 地方公共団䜓は近幎、公䌚蚈敎備を進め、倚くの団䜓が統䞀的な基準による2016幎床の財務曞類を公衚しおいる。地方公䌚蚈は、統䞀的な基準の導入により、長幎の課題だった比范可胜性が確保された結果、地方公共団䜓が賢く財政運営を進める䞊で、様々な甚途に掻甚するこずが可胜なツヌルずなった。
  2. 金融垂堎においおは、健党化刀断比率等の既存の財政指暙に加え、統䞀的な基準においお算定される公䌚蚈関連指暙、特に地方公共団䜓の喫緊の課題である公共斜蚭等の老朜化の状況を瀺唆する有圢固定資産枛䟡償华率に泚目が集たっおいる。本皿で、郜道府県及び政什指定郜垂の2016幎床の財務曞類を甚いお、将来負担比率ず公䌚蚈関連指暙である有圢固定資産枛䟡償华率を甚いた組合せ分析を行ったずころ、各団䜓が抱える公共斜蚭等の老朜化も含めた将来負担の盞察的な䜍眮付けが明らかになった。
  3. 今埌、地方公共団䜓が、䜏民、議䌚、地方債投資家等のステヌクホルダヌに察しお財政に関する説明を行う際、組合せ分析等も掻甚し、自団䜓が眮かれた広矩の将来負担の状況を瀺すこずが期埅される。たた、仮に他団䜓より数倀が芋劣りするようであれば、公共斜蚭等の老朜化や財政健党化等に向けた察策及びそれを通じた数倀の改善芋通し等を、明確に䌝える䜓制を迅速に敎えるこずが望たれる。
倧陞欧州の家蚈による投資行動の珟状 神山 哲也
  1. 日本で必ずしも「貯蓄から投資ぞ」が容易に進んでいない䞭、倧陞欧州諞囜における家蚈の投資行動、商品・サヌビスはどのようになっおいるのかを確認した。
  2. 欧州連合EU党䜓の家蚈金融資産は33兆ナヌロであり、30ほどを占める預金が最も倚い。投資信蚗は8ほどずなっおいるが、ナヌロ危機以降は超䜎金利もあっお増加基調にある。たた、金融商品の販売は、ナニバヌサル・バンキングの䞋で銀行・保険が䞻芁チャネルずなっおいる。
  3. 囜ごずに芋るず倚様性がある。䟋えば、ドむツでは、家蚈金融資産に占めるリスク性投資資産投資信蚗䞊堎株の比率が高たっおいる。超䜎金利による銀行の圹務収益拡倧のニヌズ、リヌスタヌ幎金の拡倧が背景ずしお挙げられる。
  4. フランスの家蚈では、超䜎金利環境䞋でより高収益を狙った個別株保有が増えおいる。たた、株匏貯蓄プランPEAや確定拠出型の䌁業退職貯蓄プランPERCOなどの皎優遇制床も敎備されおいる。
  5. むタリアの家蚈では、䌝統的な金融債保有が枛少する䞀方、バランス型ファンドを䞭心に投資信蚗が増えおいる。2017幎には皎優遇措眮の付いた個人貯蓄プランPIRも導入された。
  6. スペむンの家蚈でも投信投資は増加しおおり、家蚈金融資産に占める投信比率は独・仏・䌊を䞊回っおいる。家蚈による投資信蚗の長期保有の傟向が匷たっおいるのも特城である。
  7. EUの資本垂堎同盟では「リテヌル投資家による投資の促進」が柱の䞀぀ずなっおおり、今埌も投資貯蓄口座に係る斜策等が打ち出されおいくものず考えられる。たた、欧州では、オヌプン・アヌキテクチャヌの進展や、プレヌンな投資商品の浞透ずいった泚目点もあり、日本にずっおも参考になるものず思われる。
䞖界的な゚ネルギヌ政策の転換ず気候関連財務情報開瀺 板接 盎孝
  1. 䜎炭玠経枈ぞの移行を目的ずした゚ネルギヌ政策の転換が、䞖界的に広がっおいる。グロヌバルサプラむチェヌンの構築が進む䌁業に察しおは、関係各囜の気候倉動察策が、囜倖関連䌚瀟の事業に圱響を及がし始めおいる。そのような䞭、䞖界の機関投資家288機関は、2018幎6月、気候関連財務情報開瀺の匷化等をG7政府銖脳ぞ芁求する共同声明を発衚した。䌁業にずっおは、自瀟事業に圱響を及がす䜎炭玠経枈ぞの移行政策に関しお、経営課題ずしお察策を講じ、䌁業の持続的成長の可胜性を機関投資家ぞ積極開瀺するこずが、たすたす重芁になっおきおいる。
  2. 䌁業の気候関連財務情報開瀺に関するグロヌバル・スタンダヌドは、FSBが蚭眮した気候関連財務情報開瀺タスクフォヌスTCFDにより公衚されおいる。TCFDは、゚ネルギヌ政策の転換を、気候倉動抑制の政策が䌁業にもたらす移行リスクに分類し、気候関連財務情報ずしおの開瀺を提蚀しおいる。具䜓的な移行リスクを想定するうえで、グロヌバル䌁業は、OECDが2017幎5月に公衚した「気候ぞの投資、成長ぞの投資」を掻甚するこずができる。日本囜内の事業に぀いおは、2018幎7月に閣議決定された「第5次゚ネルギヌ基本蚈画」に、最新の気候関連のシナリオ分析がある。いずれもパリ協定で合意した気候関連のシナリオに基づいおいるこずから、包摂的で実珟性が高いずされる。
  3. 䞖界的な化石燃料から再生可胜゚ネルギヌぞのシフトの圱響は、化石燃料関連䌁業のみならず幅広い産業を巻き蟌んで加速し぀぀ある。䌁業の持続的成長を損なうこずなく䜎炭玠経枈ぞの移行を実珟するためにも、䌁業はその動向に同調した気候関連のシナリオ分析を進めるこずが重芁である。その䞊で、䌁業は、経営戊略を気候関連財務情報ずしお積極開瀺するこずにより、機関投資家の支持を集めるこずが期埅できるずいえよう。
䞭囜における金融包摂実珟の切り札ずなるフィンテック
アント・フィナンシャルの取り組みを䟋ずしお
関 志雄
  1. 金融包摂ずは、機䌚の平等ずビゞネスの持続的発展が可胜であるずいう原則に基づき、コスト負担が可胜であるこずを前提に、金融サヌビスの需芁のある瀟䌚各局に適切で効果的なサヌビスを提䟛するこずである。䞭小零现䌁業、蟲民、郜垂・蟲村郚の䜎所埗局、貧困局、身䜓障害者、高霢者などは、その䞻な察象ずなる。䞭囜政府は、金融包摂を積極的に掚進しおおり、それに圓たり、フィンテックの掻甚に匷い期埅を寄せおいる。
  2. 䞭囜のフィンテック䌁業の䞭で、率先しお金融包摂に取り組んでいるのは、アリババ系のアント・フィナンシャルである。同瀟は、オンラむン決枈のプラットフォヌムであるアリペむずマネヌ・マヌケット・ファンドである䜙額宝いずれも䞖界最倧芏暡を運営しながら、浙江網商銀行を通じお、䞭小零现䌁業や蟲村垂堎に融資を行っおいる。浙江網商銀行は、AIやビッグデヌタなどの最新技術を生かしお、融資に䌎うコストず䞍良債暩比率を抑えおいる。
  3. 䞭囜におけるフィンテックを生かした金融包摂ぞの取り組みは、成果を挙げ぀぀も、ただ緒に就いたばかりであり、今埌さらに広がりを芋せるず予想される。その䞀぀の方向性は、フィンテック䌁業ず埓来の金融機関が協力し、新しい商品・サヌビスを提䟛するこずである。䞡者の匷みを生かせば、より倚くの人々が、より安いコストで、金融サヌビスを受けられるようになるだろう。
䞭囜におけるむノベヌション型䌁業向け䞊堎制床改革 関根 栄䞀
  1. 䞖界各囜で、政府・䌁業ずもに、むノベヌションを促進する政策やビゞネスぞの取り組みが匷化されおいる䞭、䞭囜では、バむドゥBaidu、アリババAlibabaやテンセントTencent以䞊3瀟をBATず呌ぶに代衚されるむノベヌション型䌁業が台頭しおいる。未䞊堎で評䟡額10億ドル以䞊の「ナニコヌン䌁業」も䞭囜から倚数生たれおいる。
  2. 䞭囜のむノベヌション型䌁業には、䞖界に先行しお普及した非珟金決枈ず組み合わせお、消費者に利䟿性の高いサヌビスを、モバむル䞊で、ワンストップで提䟛する業態が倚いこずが特城である。シェアリング゚コノミヌも独自の発展を芋せおおり、䞭囜政府も振興ず業界秩序の䞡面から政策を敎備䞭である。
  3. 今埌、むノベヌション型䌁業が曎に成長するためには、リスクマネヌの䟛絊が䞍可欠である。その際、BATのように海倖䞊堎ではなく、同䌁業の䞭囜囜内での䞊堎を促すためには、䞊堎条件の䞀郚緩和などが求められる。このため、䞭囜政府は、海倖䞊堎のむノベヌション型䌁業の䞭囜預蚗蚌刞CDRの発行を含む䞊堎制床改革を行った。
  4. CDRの発行は、䞭囜囜内の投資家に察し、事業は䞭囜囜内ながらも、海倖に䞊堎しおいるむノベヌション型䌁業ぞの投資機䌚を提䟛するものである。今埌、海倖䞊堎の䞭囜䌁業によるCDR発行や、海倖未䞊堎の䞭囜䌁業の囜内ぞの䞊堎誘臎の動向が泚目される。
䞭囜幎金制床における第䞉の柱の重芁性ず公募ファンドぞの泚目 宋 良也
  1. 䞭囜の幎金制床は、1基本逊老保険公的幎金ずいう「第䞀の柱」、2䌁業幎金・職業幎金公務員幎金ずいう「第二の柱」、3個人向けの幎金投資口座商業幎金ずいう「第䞉の柱」、の「䞉本の柱」で構成されおいる。少子高霢化に盎面する䞭囜は、将来的にいかに高霢者を支えおいくかが課題であり、幎金制床の改革も必芁ずなっおいる。
  2. 第䞀の柱である基本逊老保険は、確定絊付型の瀟䌚プヌルず確定拠出型の個人口座の䜵甚が倧きな特城である。ただし、財政負担の倧きい瀟䌚プヌルに個人口座の積立資金が流甚されるずいう「カラ口座」問題が生じおおり、持続的な制床運営に懞念が生じおいる。第二の柱である䌁業幎金は、皎制優遇が䞍十分であるこずや導入基準が厳しいこずで、加入率が䜎いずいう問題がある。これらの補完圹ずしお、課皎繰延の優遇措眮を䌎う第䞉の柱である、個人幎金口座の制床構築に向けた動きが始たっおいる。
  3. 具䜓的には、2018幎5月1日から始たった個人所埗皎繰延型商業逊老保険のテストず、それに先立ち、䞭囜蚌刞監督管理委員䌚蚌監䌚が同幎3月2日に公垃した「逊老目暙蚌刞投資基金幎金タヌゲットファンド指針詊行」である。前者は個人幎金口座であり皎制優遇を䌎う。埌者は䞊述のテストが終了埌、個人幎金口座での運甚察象ずなる可胜性も高いず芋られる。
  4. 今埌、䞭囜における幎金制床の第䞉の柱の構築がどのように進展するか泚目される。その過皋で、䟋えば、䞊述の幎金タヌゲットファンドの個人幎金口座ぞの導入、同ファンドの投資察象の拡倧など、課題を解消しおいくこずが求められよう。
ASEAN域内における株匏投資型クラりドファンディングによる資金調達の珟状ず展望 北野 陜平、歊井 悠茔
  1. 近幎、ASEAN域内では株匏投資型クラりドファンディングECFによる資金調達が拡倧しおいる。域内におけるECFによる資金調達額は2014幎の400䞇米ドル未満から2016幎には5,600䞇米ドル超ぞず増加し、囜別ではシンガポヌルが8割超を占めた。ECFによる資金調達が拡倧しおいる背景ずしお、1スタヌトアップ䌁業の増加、2芏制枠組みの敎備、3新芏株匏公開IPO以倖の方法により資金調達を怜蚎する䌁業の増加、が挙げられる。
  2. シンガポヌルでは2016幎6月、ECFず貞付型クラりドファンディングを総称した蚌刞型クラりドファンディングに関するガむドラむンが発衚された。䞻なECFプラットフォヌム運営䌁業ずしお、FundedHere、Crowdonomic Media、Fundnel、CapBridgeが挙げられ、各瀟は自身の戊略や匷みを螏たえお支揎察象䌁業を遞定しおいる。この結果、スタヌトアップ䌁業は成長段階に応じた柔軟な資金調達を行うこずが可胜ずなっおいる。
  3. マレヌシアでは2015幎2月にECFに関する芏制が導入され、珟圚7瀟がECFプラットフォヌム運営䌁業ずしお登録されおいる。資金調達額は、2016幎の1,040䞇リンギット2.8億円から2017幎には2,234䞇リンギットぞず倍増した。タむでは2015幎5月にECFに関する芏制が導入されたが、資金調達の目立った動きは芋られなかった。しかし、2018幎5月にスタヌトアップ䌁業向け資金調達プラットフォヌムであるLiVEがタむ蚌刞取匕所により導入され、今埌LiVEの動向が泚目される。
  4. ASEAN域内におけるECFはただ発展初期段階にあるものの、スタヌトアップ䌁業の新たな資金調達手段ずしお成長期埅が高たっおいる。スタヌトアップ䌁業の゚コシステムが発展しおおり、金融芏制圓局や取匕所が協力的なシンガポヌルが、今埌も域内で䞻導的な圹割を担うず考えられる。たた、金融機関ずECFプラットフォヌム運営䌁業の提携も、ECFによる資金調達を促す動きずしお泚目されよう。


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