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野村資本市場クォータリー 2018年春号
豪州のインフラ民営化における2つの工夫 −アセットリサイクリングと年金基金による共同インフラ投資−
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竹下 智
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- インフラ投資の民間資金活用に関連して、一つの興味深いアプローチとして豪州の「アセットリサイクリング(asset recycling)」が注目されている。アセットリサイクリングとは、「政府等の公共セクターが保有する既存のインフラ資産や運営権を民間セクターに売却または長期リースし、その収益により新しいインフラ整備を行う」ことである。この手法を使えば、新たな借り入れ等を行うことなく新規のインフラ投資が可能となる。
- アセットリサイクリングの代表的な事例として、2015年から17年にかけて豪州のニューサウスウェールズ(NSW)州政府が送配電事業の所有権の半分を国内年金基金等と99年の超長期リース契約を締結した案件がある。その収益は全額、同州が設立した専用のファンドにプールされ、地下鉄、道路等のインフラ建設に投資される予定であり、財政への負担なく将来の人口増に対応するインフラの整備および地域への大きな経済波及効果が見込まれる。
- 上記のNSW州の民営化案件でコンソーシアムに参加した豪州の資産運用会社「IFMインベスターズ(IFM Investors Pty Ltd)」は、株主のすべてが同国の年金基金で構成されている。IFMインベスターズは、事実上、年金基金が共同でインフラ投資を行うためのプラットフォームであり、株主である年金基金に配慮した特色を持っている。
- 高水準の公的債務に悩む中、既存のインフラ資産を豊富に保有している日本にとって、「アセットリサイクリング」のコンセプトは参考になると思われる。あわせて、インフラ投資に関心を抱きながらも、投資管理に不安を持っている年金基金の観点から、共同インフラ投資のプラットフォームの創設について検討することは有益ではないだろうか。
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