時流

金融・資本市場とブロックチェーン

京都大学公共政策大学院教授 岩下 直行

要約

ビットコインの基盤であるブロックチェーン技術の金融・資本市場への適用が期待されている。全世界で話題となったフェイスブックのリブラ構想に続き、最近は中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する議論が熱を帯び始めている。

暗号資産から派生した資金調達手段であるICOは全世界で急増したが、杜撰な事業が相次ぎ、ブームはあっけなく終わった。米国では、代わって証券規制の枠組みに基づくSTOが増えている。日本でも、投資性を有するICOが金融商品取引法の規制対象となり、日本版STOと呼ばれている。

ブロックチェーン技術は魔法の杖ではない。新しい技術が、いかにして金融・資本市場に真の利便性や効率性をもたらすのか、慎重に検討していくことが必要だ。