特集:地域金融機関の今後

米国地域金融機関の証券ビジネスを支援するLPLファイナンシャル

下山 貴史、岡田 功太

要約

  1. LPLファイナンシャルは、全米最大級のファイナンシャル・アドバイザー向け証券取引サービス提供会社として知られている。同社は、地銀、信用組合、独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA会社)に所属する約1万6,100名のファイナンシャル・アドバイザーに、証券取引及び証券事業支援サービスを提供している。それらのファイナンシャル・アドバイザーは、主に地方で営業活動に従事していることから、LPLファイナンシャルは、地域金融機関の証券ビジネスを支援している存在とも言える。
  2. 同社は、ブローカレッジ・サービスとアドバイザリー・サービスを提供するが、近年は投資アドバイスの対価としてフィーを受け取るアドバイザリー・サービスに注力している。また、ファイナンシャル・アドバイザーの業務効率化を目的としたテクノロジー・ツール等の提供も行っており、2019年のテクノロジー投資額を約1億5,000万ドルに決定し、同ツールの拡充を図っている。
  3. LPLファイナンシャルは、上記のサービスを通じて、多様な地域金融機関に属するファイナンシャル・アドバイザーを支援している。同社との提携を通じて、非金利収入を増加させた地域金融機関、収益源の多角化を図る銀行、顧客との関係強化や業務効率化を実現した小規模信用組合やIFA会社など様々である。
  4. LPLファイナンシャルの成長は、大手証券会社が有するミドルオフィス及びバックオフィス機能を、サービスとして社外に提供することで収益化できる可能性を示唆すると共に、地域金融機関にとって同サービスが魅力的であることを意味している。LPLファイナンシャルのようなサービス提供者は、米国の幅広い地域において、顧客に対して適切なファイナンシャル・アドバイスが提供されるためにも、欠かせない存在と言えよう。