時流

新型コロナウイルス感染症対応にかかる国際金融公社の取り組み

国際金融公社 シニア・ファイナンシャル・オフィサー 安井 真紀

要約

  1. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行は、私たちの日々の暮らしを一変させた。感染者数では、既に先進国よりも途上国の方が上回っている。
  2. 医療保健面の危機と共に、経済社会面の危機も喫緊の課題だ。サプライチェーンの混乱、需要の減少、市場の不安、さらに社会の動揺によって、世界各地でビジネスに様々な影響が出ている。途上国が受ける影響は、先進国より深刻かつ致命的だ。リアル・セクターを直撃する今回の危機は、金融危機を中心としたリーマンショックの比ではない。
  3. 開発資金の在り方も無縁ではない。長年の開発支援で培ってきた途上国の人的資本が脅威にさらされ、数十年にわたる経済発展と貧困削減に向けた開発の成果を失いかねない事態に直面している。