特集1:サステナビリティと認証・評価

諸外国・地域のサステナブルファイナンス関連認証ラベルの現状と注目点

江夏 あかね、林 宏美、富永 健司

要約

  1. 持続可能な社会の実現に向けて環境・社会に配慮した商品を選択する際に参考とされる存在として「認証ラベル」がある。21世紀に入った頃から、サステナブルファイナンスや、その代表的な方法として環境・社会・ガバナンス(ESG)の要素を考慮する投資概念が世界的に浸透・進展する中、金融商品等を対象とした認証ラベルが欧州を中心に創設され、発展してきた。
  2. 本稿では、代表的なサステナブルファイナンス関連認証ラベル及び制度として、オーストリア、ルクセンブルク、ドイツ語圏諸国、フランス、北欧諸国、香港、ベルギー、英国の事例を取り上げ、特徴等を概観した。これらの認証ラベルは、投資家が真に持続可能な社会の実現に寄与する金融商品を選択する一助として活用されている。
  3. サステナブルファイナンス関連の認証ラベルに関する今後の主な注目点としては、(1)認証ラベルの信頼性の維持・向上に向けた取り組み、(2)各認証ラベルによる協調的な動き、が挙げられる。そして、サステナブルファイナンス全体の観点からは、(3)個人投資家へのさらなる訴求、も論点となり得る。
  4. サステナブルファイナンスの進展が今後も想定される中、世界各地で認証ラベルの誕生が続く可能性は高いと考えられる。一方で、認証ラベルが市場インフラとしてさらに根付いていくためには、信頼性の維持・向上に向けた不断の取り組みが不可欠であり、多様化する認証ラベル間の協調の可能性と併せて、今後の動向が注目される。