個人マーケット

お小遣い管理アプリを通じた金融経済教育の推進
-米フィンテック企業グリーンライトの取り組み-

加藤 貴大、神山 哲也

要約

  1. 近年、米国ではフィンテック企業のグリーンライト(Greenlight)が注目を集めている。同社は、親が子供に対してお金の管理に関する教育を行うためのツールとして、子供向けのデビットカード、預金・証券口座、残高管理アプリなど、多様な金融サービスを提供している。
  2. デビットカードと預金口座に関するサービスは、コミュニティ連邦貯蓄銀行(CFSB)が提供しており、毎月、貯蓄額に応じて報奨金を支払うサービス(貯蓄報奨金)により、子供の複利効果に対する理解を促しつつ貯蓄するインセンティブを高めている。
  3. 証券口座に関するサービスはドライブウェルス(DriveWealth)が提供しているが、投資可能銘柄を上場株式と上場投資信託(ETF)に限定していること、証券投資に係る学習コンテンツの提供、最低投資金額を1ドルに設定していること、おすすめのETF銘柄をアプリ上で紹介するなど、証券投資を行う上での障壁を減らすための取り組みが見られる。
  4. 幅広い国民の金融リテラシー向上においては、学齢期から実践を通じた経験をセットにすることも重要であろう。グリーンライトにおける支出管理や貯蓄、証券投資を促すための機能と金融経済教育コンテンツは、子供が知識を習得しながらお金を自ら管理する経験を積むことができる点で効果的と言える。今後、日本で金融サービスを通じた金融経済教育の推進を図るうえで、参考になるものと考えられる。