時流

サステナブルバンキングと日本の地域金融機関

神戸大学経済経営研究所長・教授 家森 信善

要約

サステナブルバンキングについて海外では一定の研究蓄積がある。多くの関連研究をサーベイしたda Silva Inácio and Delai (2022) は、サステナブルバンキングを「短期、中期、長期にわたって、環境、社会、経済の側面に利益をもたらして、持続可能な開発に貢献する商品、サービス、実務慣行を提供する銀行」と定義することを提唱している。この定義に基づいて、日本の地域金融機関をみると、社会の側面については伝統的に重視してきたが、環境の側面での意識が弱く、取り組みの強化が必要である。一方で、日本では多くの地域金融機関が、金融を超えた支援に取り組もうとしており、サステナブルバンキングの概念の拡張に成功することを期待したい。