ESG/SDGs

サステナブル・ファイナンスへの活用が期待されるブレンデッド・ファイナンス

小立 敬

要約

  1. 2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)およびESG(環境/社会/ガバナンス)の観点から、サステナブル・ファイナンスへの取組みが国内外で本格化している。そうした中、民間セクターの資本を呼び込む投資のストラクチャーとして公的資金や慈善資金と民間の投資・融資を組み合わせたブレンデッド・ファイナンスが注目されつつある。
  2. ブレンデッド・ファイナンスは現在、発展途上国の開発ファイナンスに主に利用されており、これまでに累計680件、1,600億ドルを超える取引が実行されている。ブレンデッド・ファイナンスのストラクチャーとしてはファンドの形式が多く、中所得国向けが過半を占めており、高所得国向けは少ない。ブレンデッド・ファイナンスには、開発金融機関(DFI)などが投資家として取引に参加しており、大手銀行を含む一般金融機関の参加もみられる。
  3. 英国では、休眠預金を利用しながら、社会的ファイナンスにブレンデッド・ファイナンスを活用する制度がある。一方、2050年までに投資ポートフォリオのネットゼロの実現にコミットするネットゼロ・アセットオーナー・アライアンスは、気候変動に伴う移行(トランジション)に必要となるトランジション・ファイナンスにおいてブレンデッド・ファイナンスを活用することを提案している。
  4. 日本においてもブレンデッド・ファイナンスへの関心が高まりつつある。今後、ブレンデッド・ファイナンスが有する潜在性に注目しながら、様々な角度からサステナブル・ファイナンスへの活用の実現可能性について議論を深めていくことが求められよう。