時流

暗号通貨の規制・監督とCBDCに関する一考察
-『暗号通貨の未来と国家』を読んで-

株式会社東京金融取引所 代表取締役社長 木下 信行

要約

暗号通貨の規制・監督における政府の役割は、暗号通貨の価値を判断するのではなく、詐欺や価格操作のない中で投資家が情報に基づいた意思決定をできる環境整備をすることにある。また、中央銀行デジタル通貨(CBDC)については、事業としての採算性を吟味しつつ、CBDCが果たすべき役割から入るというアプローチが有効である。暗号通貨市場が黎明期にあり、CBDCを巡る議論も緒に就いたばかりの日本において、こうした視座を提示する『暗号通貨の未来と国家− 「クリプト父さん」による闘いの記録』から学ぶべきことは多いように思われる。