アセットマネジメント

米国における財団の投資戦略及び助成活動

岡田 功太、船津 太佑

要約

  1. 米国の財団(Foundation)は、幅広い領域において助成活動を行っている。ゴールドマン・サックス財団やチャールズ・シュワブ財団などの金融機関系財団は、大学などの教育機関と提携し、学生が受講するファイナンシャル・プランニングのカリキュラムを拡充したり、独立系ファイナンシャル・アドバイザー業界への就業を希望する学生を支援したりしている。
  2. 他方で、ロックフェラー財団及びフォード財団などの独立系財団は、助成活動の一環としてインパクト投資を推進したり、助成活動を行うための資産規模を拡大させるべく、ベンチャー・キャピタル・ファンドやプライベート・エクイティ・ファンドなどのオルタナティブ・ファンドに積極的に投資している。
  3. 米国の財団が、法人税の非課税優遇措置を享受するには、毎年度末の資産の5%以上を翌年度に公益事業として支出する必要がある。そのため、米国の財団には、多様な投資戦略の採用を通じて、資産規模を拡大させようというインセンティブが働きやすい。
  4. 足元、日本では、新しい資本主義の実現に向けて、社会的課題解決に向けた助成活動の活性化が求められている。そうした中、米国の財団の取り組みは、日本の公益法人(財団を含む)の制度改正及び運用改善に係る議論を進めていく上で、参考になるのではないだろうか。