金融イノベーション

メタバースにおける金融サービスの可能性

王 月

要約

  1. メタバースへの関心が高まる中、金融分野においても、大手金融機関がメタバース内で仮想店舗を出店するなどの動きが出てきている。
  2. 米大手行のJPモルガン・チェースは2022年2月、メタバースのディセントラランドに仮想店舗を設立し、訪問者に同社のブロックチェーンや暗号資産に係る取り組みを紹介している。また、米大手資産運用会社のフィデリティは、2022年12月の商標登録において、同社が現実世界で提供している幅広い金融サービスをメタバースで提供する可能性を示唆している。
  3. 他方、メタバースにおける金融商品・サービスの提供には、金融規制上の論点もある。メタバースにおける金融商品・サービスの提供について、どの国の規制が適用されるのか、現行規制の定義・要件が適用可能なのかなど、様々な観点からの検証が必要となろう。
  4. 金融機関のメタバースへの進出は、(1)仮想店舗における情報提供、(2)金融商品・サービスの提供、という2段階が考えられるが、現状では(1)に留まっている。今後、(2)に進むには金融規制上の問題がハードルとなることが想定され、どのような展開を見せるのか、注目される。